TOKYO ZEROキャンペーン 活動報告2016
TOKYO ZERO キャンペーンの2016年の課題は、ペットを巡る問題についての知識を皆さんとさらに深く共有していくことにありました。
1月〜12月|JANUARY ~ DECEMBER 今年から「いちから学ぶ ペットのためにできること」勉強会シリーズを開始。1月から12月にかけて、計6回開催したこのシリーズでは、動物愛護法の専門家や社会起業家、呼びかけ人の方々が登壇し、日本におけるペットを取り巻く現状についての背景や課題を深掘りしました。
1月の勉強会への応募は、200人が座れる会場を衆議院第一議員会館で準備したにも関わらず、定員を大きく超え、抽選を行ったうえでの開催となりました。その後の5回の勉強会も毎回定員を超えるお申し込みをいただき、TOKYO ZEROキャンペーンが掲げる「すべてのペットが幸せになれる東京、そして日本」についてもっと知りたい、取り組みたい人が数多く存在することをとても心強く感じました。
2月 | FEBRUARY
2月には、TOKYO ZEROキャンペーンが掲げている「3つの解決策」の一つ「ペット産業適正化のために必要な8週齢規制の早期実現」に関して、大きな進展がありました。
札幌市が、新たに制定を目指している「札幌市動物愛護管理条例案」で、すべての犬猫の飼い主に「生後8週間は親子を共に飼養してから譲渡するよう努めること」(札幌市動物愛護管理条例案第7条第4号)と努力義務にする条項を盛り込んだのです。動物愛護法においては現在、いつ実現するかわからない「緩和措置」によって「56日(8週)齢規制」は「49日齢規制」に読み替えられており、この「骨抜き」状態がいつ解消されるのか、目処が立っていません。
そんななかで札幌市が条例案に今回の条項を盛り込んだのは、「努力義務」ではありますが、日本の動物福祉向上にとって、たいへん意義が深い、意欲的な取り組みでした。TOKYO ZEROキャンペーンは、札幌市の取り組みを後押しする緊急集会に参加。その後、無事条例は成立いたしました。
3月|MARCH
TOKYO ZEROキャンペーン呼びかけ人が関東地方のある動物愛護センターへの視察をもとに、「視察レポート」を公開しました。
2015年10月に視察へ参加した呼びかけ人はイズミカワソラさん、佐藤大吾さん、塩村あやかさん、富坂美織さん、ハリス鈴木絵美さん、藤野真紀子さん、松原耕二さん。事務局メンバーとともに、センター職員の方の現状説明を聞くなどしながら、約2時間にわたって業務の様子や施設の内容を視察しました。
視察に参加した呼びかけ人の一人、ハリス鈴木絵美さんによるレポートを通じて、ペットたちが置かれている現実を広く知っていただく一助になればと思っています。
4月|APRIL 東京農業大学農学部の動物介在療法学研究室と共同で、犬の社会化期にまつわる共同研究を開始。研究は、犬と飼い主さんのオキシトシン濃度の上昇を調べるもので、犬が生まれた環境と親から引き離された時期が、問題行動の発生頻度にどう関係するのかを探るのが目的です。
7月|JULY 夏には、参議院議員選挙と東京都知事選挙が世間の話題となりました。TOKYO ZEROキャンペーンでは、候補者を対象に「動物福祉に関するアンケート」を実施。回答をキャンペーンサイト上で公開するなど、候補者の動物福祉についての考えを可視化することに注力しました。
8月|AUGUST キャンペーンへの賛同者が7万人を超え、新たな呼びかけ人も参加しました。フリーアナウンサーの生島ヒロシさん、プロ野球解説者の門倉健さん、料理人の陳建一さん、女優の藤吉久美子さん、オテル・ドゥ・ミクニ オーナーシェフの三國清三さん、ミュージシャンであるミス・ワールド・ジャパン・オーケストラの皆さんらが加わり、2016年12月現在65人(組)が呼びかけ人となっています。
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2016年は勉強会を通して、支持してくださっている皆様と直接会う機会が増えました。ネット上のつながりとはまた違うリアルな場を通して、キャンペーンの運営に関わるボランティアとしては、改めて「これだけ多くの人が注目している問題なんだ」「この現状を力を合わせて変えなくてはいけない」と感じております。
日本ではいまや、犬猫の飼育頭数が15歳未満の子どもの人口を超えています。家族のような存在であるはずなのに、ペットビジネスは「命」をぬいぐるみのように大量生産し続け、平日毎日約400匹が殺処分されている……。
この現実を知った限りは、声を上げ続けなければなりません。
TOKYO ZEROキャンペーンが目指す目標の一つである「8週齢規制」の実現は、動物愛護法の改正が大きなチャンスとなります。来年、そして再来年が正念場です。札幌市の条例で見られるように、世論は確実に規制強化に動いていますが、油断はできません。
一人でも多くの日本人がTOKYO ZERO キャンペーンを知り、仲間になり、すべてのペットが幸せになれる日本を築けるよう、皆様とともに努力を続けてまいります。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。 良い年末年始をお過ごしください。
TOKYO ZERO キャンペーン
TOKYO ZEROキャンペーン 年末年始におすすめの著書
もふもふ猫まみれ とよたさんちのマブ猫 22のハッピールール
呼びかけ人の一人、女優のとよた真帆さんの著書。5匹の保護猫たちとの暮らしが、楽しく書かれています。保護猫を飼うことで得られる喜びがひしひしと伝わってきて、ほっこりできます。同時に、保護猫を飼う意義も考えさせられる1冊です。
著者:とよた真帆 発行:講談社
赤ちゃんネコのすくいかた 小さな”いのち”を守る、ミルクボランティア
呼びかけ人の一人、フォトジャーナリストの児玉小枝さんの著書。全国の自治体で真っ先に殺処分対象になってしまう子猫たちに焦点をあて、いかに命を救っていくかを優しく、わかりやすく書かれています。子どもたちに、ぜひ手にとってほしい1冊です。
著者:児玉小枝 発行:集英社
殺処分されるペット、食べられる家畜、見られる動物、実験室で生まれる命、棲む場所を追われる野生動物、東日本大震災と動物たち……。人間がかかわるあらゆる動物たちについて、それぞれの専門家がつづった1冊。日本で暮らす動物たちについてもっと詳しく、もっと多角的に知りたいという人におすすめです。この年末年始、動物たちの身の上に起きている様々な事象について、真剣に考えてみませんか?
著者:高槻成紀、政岡俊夫、太田匡彦ら 発行:朔北社
米国と日本で獣医師として活躍されている西山ゆう子さんが、「いい獣医師さん」と出会う方法をわかりやすく解説している1冊。日本の動物病院のあり方まで詳細につづられており、いま犬や猫などを飼っている方にとっては必読です。動物福祉の基本は、愛犬や愛猫の健康管理から、ということがよくわかります。
著者:西山ゆう子 発行:ポット出版プラス
埼玉県川越市にある保護猫カフェ「ねこかつ」。そこで保護され、新たな飼い主にもらわれていった3本足の猫「シュウさま」が主人公。飼い主であるちょとさんが優しい筆致で、シュウさまの日々の様子をつづっています。ねこかつ店長・梅田達也さんが書いたコラムなども挿入されており、ペットショップの問題点などもよくわかる1冊になっています。
著者:ちょと、梅田達也 発行:WAVE出版