
殺処分される犬や猫の数
平日毎日700匹
2012年度、17万2360匹もの犬と猫が、全国の自治体で殺処分されました。殺処分が行われるのは平日。つまり日本では平日毎日、約700匹もの犬や猫が殺されているのです。
日本におけるペット流通の闇
一方で日本には、欧米先進国にはほとんどみられないペットショップ(生体小売業者)が存在します。このビジネスを支えるために、全国各地でパピーミル(子犬繁殖工場)とペットオークション(競り市)が営まれています。そして、犬だけで毎日約1600匹が販売されているのです。
人間のパートナー、家族として生まれてきたはずなのに、その人間に捨てられ、殺されていく命があります。
殺処分ゼロを実現するにはまず、東京において、ひいては日本中で、①ペット産業適正化のために「8週齢規制」を早期に実施する必要があります。

幼すぎる子犬たち
生後56日(8週齢)に満たない、幼すぎる子犬を生まれた環境から引き離すと、精神的外傷を負う可能性が高く、無駄ぼえや無駄がみなどの問題行動を起こしやすくなります。このこと自体、動物福祉の観点から大きな問題となっています。問題行動が、飼い主による飼育放棄の可能性を高めてしまうことも、見過ごせません。
「ぬいぐるみ」を、
「衝動買い」させるペットショップ
一方で、ペットショップなどでは「犬がぬいぐるみのようにかわいいのは生後45日くらいまで」という考え方に基づいて、幼すぎる子犬を販売しています。「かわいさ」という商品力によって、消費者に衝動買いを促すことをビジネスモデルの根幹に据えているという実態が、背景にはあります。そして衝動買いが、安易な飼育放棄につながりやすいことは、言うまでもありません。
8週齢は先進国の常識
欧米先進国では、8週齢まで子犬を生まれた環境から引き離すことを禁じる「8週齢規制」は、常識です。8週齢規制を早期に実施することで、ペット産業の適正化を促し、動物福祉の向上につなげていくべきだと、私たちは考えています。
ペット産業の適正化が捨て犬、捨て猫をうみだす「蛇口」を締めることにつながるとすれば、それでも捨てられてしまう犬や猫たちにとっての「受け皿」の改善も必要です。
そこで私たちは、②捨てられた犬や猫の福祉向上のために「動物愛護センター」を「ティアハイム」的施設に転換するよう促す必要があると考えています。

「動物殺処分センター」で使われる
数十億円もの税金
全国の都道府県、政令指定都市、中核市が犬や猫の引き取り業務を行っています。その業務の担い手である施設は多くの場合「動物愛護センター」などと呼ばれ、捨て犬、捨て猫の「受け皿」となっています。ところがこれらの施設は、名称とは真逆の「動物殺処分センター」になっています。しかも、殺処分されるまで、犬や猫は劣悪な環境に置かれる。毎年、総額数十億円規模の税金が、こうした処置に投じられているとも言われています
ドイツの常識、日本の非常識
一方で動物福祉先進国・ドイツには、捨てられた犬や猫たちが幸せに暮らせ、そこで新たな飼い主を待つための動物保護施設「ティアハイム」が存在します。一般の人が気軽に足を運べる明るい施設、利便性の高い立地となっており、もちろんそこでは日本のような殺処分は行われていません。
東京にも、ティアハイムを!
東京の「動物愛護相談センター」を、そして全国の「動物愛護センター」を、抑留して殺処分するための施設から、ドイツの「ティアハイム」のような保護して譲渡するための施設に転換していくことが必要だと、私たちは考えています。
捨てられた犬猫の殺処分率は現在77%
現在、殺処分される犬猫の数は減少傾向にはあります。
それでも2012年度、全国の自治体に捨てられた犬猫の数は22万2883匹。うち殺処分されたのが17万2360匹。殺処分率は77・33%にのぼります。一方で、新たな飼い主に引き取られていった犬猫は3万3096匹……。譲渡率は14・84%にすぎません。
保護犬、保護猫をペットに
今日も約700匹もの犬や猫が殺処分されていることを思えば、殺処分率を下げ、譲渡率をあげる取り組みを急がなければいけません。私たちは、③「保護犬」「保護猫」との出会いを広めていこうと考えています。
「保護犬」や「保護猫」をパートナー、家族として迎えることのすばらしさを、世の中に訴えかけていきます。
物言えぬ犬や猫たちのために、私たちは声をあげます。まずは東京で、五輪開催年である2020年を目指して。

東京から「ゼロ」を実現
東京には、全国規模で展開する大手ペットショップチェーンのうち5社もが本社を置いています。ペットショップの数も全国でもっとも多くあります。そのため、隣接県に少なくとも7つの競り市が開かれています。一方で、毎年2千数百匹(2012年度は2398匹)の犬猫が殺処分されています。
世界に誇れる東京を
私たちは、海外からたくさんのお客さまを迎えることになる2020年までに、世界にほこれる「動物福祉先進都市」東京の実現を目指していきます。不幸な犬や猫を「ゼロ」にしていくために。
『犬を殺すのは誰か ペット流通の闇』(朝日文庫)を基に作成

物言えぬ犬や猫のために、私たちは声をあげます。
東京五輪が開催される2020年までに、
不幸な犬や猫を「ゼロ」にし、
まずは東京を世界にほこれる「動物福祉先進都市」とするために。
具体的な解決策は3つです。( 詳しく読む)
- ① ペット産業適正化のために「8週齢規制」を早期実施
- ② 捨てられた犬猫のために「動物愛護センター」を「ティアハイム」的施設に転換するよう促す
- ③ 「保護犬」「保護猫」との出会いを広める
皆さんも、私たちとともに、声をあげてください。
すべての犬や猫が、幸せになれる都市・東京の実現を目指して。