2014.10.01

「ジェームス・サーペル教授 公開セミナー」を開催! 子犬を引き離す最適なタイミングとは?


会場全体

TOKYO ZEROキャンペーンは9月28日、TKP市ケ谷カンファレンスセンター(東京都新宿区)を会場に、米ペンシルベニア大学獣医学部のジェームス・サーペル教授と麻布大学獣医学部の太田光明教授をお招きし、「公開セミナー」を開催しました。約100人の方が参加し、人と犬との関係はどうあるべきなのか、8週齢規制はなぜ必要なのか、両教授から最新の知見を聞きながら問題意識を深めました。

 

「人の健康に良い」犬が減少する問題

 

「日本における『ヒトと動物の共生科学』のあゆみ」と題して講演した太田教授はまず、「ヒトと動物の関係学会」の成立過程や、その分野の世界的な潮流について説明。そのうえで、日本における犬の飼育頭数が減少傾向にある問題を指摘しました。

一方で、犬を飼うことが人の健康にどのような効果をもたらすかについて、複数の研究成果をあげて解説しました。ペット飼育による医療費削減の効果がドイツでは年間7547億円、オーストラリアでは年間3088億円にのぼるという研究や、WHOの「動物(ペット)は人の心身の健康に良い影響を与える」という報告を紹介。

ほかにも、リラックスしている時などに働く副交感神経が犬との散歩中に活性化したり、犬とふれあうなどすることで陣痛促進や母乳の分泌を促すホルモン「オキシトシン」の濃度が上昇したり、猫に触れることで脳の血流が増えたり、といった研究について詳しい解説を続けました。

そのうえで太田教授は、「このように私たち人間に良い影響を与えてくれる犬が減ってきている。日本の医療費が増え続けている一方で、このままのペースで犬が減っていけば、人の健康にボディーブローのように効いてきます。そのことを知った上で、様々な活動に取り組んでいただきたい」と結びました。

 

「C-barq」とは何なのか

 

ジェームス・サーペル教授1続いて、サーペル教授は、「C-barq(犬の行動解析システム)で何がわかるか ~幼齢犬との向き合い方~」と題して講演しました。環境省が、8週齢規制(動物愛護法第22条の5)の附則(第7条)を今後どう取り扱うかの判断基準として採用している「C-barq」は、サーペル教授が開発したもの。統計学的な手法を用いて犬の行動特性を測定する「物差し」といえる存在です。講演ではまず、その「C-barq」開発の経緯やシステムの内容について時間をかけて詳しく説明をしました。

そして、これまでに「C-barq」を利用してわかってきた犬の特性を例示しました。たとえば、犬種ごとの攻撃性の違いです。「見知らぬ人に対する攻撃行動」を起こす度合いは、ダックスフントやミニチュアダックスフント、チワワの順に高く、一方でシベリアンハスキーやゴールデン・レトリバーなどが低い。また「見知らぬ人に対する恐怖行動」を起こす度合いはやはり、ミニチュアダックスフントやチワワで高く、シベリアンハスキーやゴールデン・レトリバーで低い。こうしたことからサーペル教授は、「体の大きさと恐怖心とは負の相関関係にある」などと説明します。

次に、「犬種間の違いもあるが、同じ犬種のなかでも個体間の差がある。実は、その個体間の差のほうが大きい。では、その違いはどこから来るのでしょうか」と投げかけました。サーペル教授は、この問題に犬の社会化期がかかわってくると言い、「生まれてすぐの環境が、その後の犬の行動や気質に影響してくるのです」と続けました。ここでJohn Paul Scott 氏と John L. Fuller氏による1965年の研究成果を紹介したうえで、「C-barq」による研究成果に踏み込んでいきました。

サーペル教授がまず指摘したのが、「商業目的でないブリーダーから入手した犬」と「ペットショップで入手した犬」との違いです。サーペル教授は、ペットショップで入手した犬のほうが「はるかに、飼い主に対して攻撃性が強く、大きな音やモノなどを怖がり、分離不安を起こしやすく、無駄吠えをしやすく、留守番時に粗相などをしやすい。結論を申し上げると、ペットショップから入手した犬は、商業目的でないブリーダーから入手した犬に比べて、非常に悪い結果が出た。場合によってはかなり差が出る項目もあった」と指摘しました。

 

「最適なタイミングは8週齢」(サーペル教授)

 

こうした研究成果から、「早い時期に生まれた環境から引き離された」というポイントに着目したと言います。何週齢で生まれた環境から引き離されたかを見ていくと「7週齢に達する前に入手された、つまりは生まれた環境から引き離された子犬で、問題行動を起こす傾向が強く出てきた」と言うのです。

サーペル教授は「C-barq」によって判明したことを、こう結論づけました。

「子犬をペットショップ、あるいは商業目的(営利目的)のブリーダーから買ってくるということが、重大なリスク要因になる。成犬になった後に問題行動を起こすという意味で、リスクなのです」「子犬が生まれた環境から引き離される時期の違いが6週齢か7週齢かの違いで、あとあとになっての行動に及ぼす影響が非常に大きいのです」

そして、先に紹介したJohn Paul Scott 氏と John L. Fuller氏の研究に修正を加え、「7週齢から9週齢の間が、子犬を生まれた環境から引き離すタイミングである。7週齢に到達する前に子犬を生まれた環境から引き離すことはよくないと、あらゆるエビデンスがそろっている」と解説しました。

そのうえで、会場からの質問に答える形でサーペル教授は、「『8週齢規制』をすると決められるのなら、それは良いことだと思います。私は個人的には、最適なタイミングは、7週齢から9週齢のちょうど真ん中である8週齢だと申し上げています。新しい飼い主のもとに行くのは、推奨としては8週齢です。ただ、7週齢と8週齢とで子犬の状態がどれくらい違うのかと言われれば、若干の違いがあったとしても、それは6週齢と7週齢との違いに比べると小さいものです」と説明。さらに、「問題なのは、これは米国でもそうですが、子犬の年齢を判断するのが難しいということです。業者は幼くして売ってしまうにこしたことはないのですが、一方で、6週齢なのか8週齢なのか判断できる専門知識を持った人が非常に少ない。それが問題なのです」と続けました。

 

DSC_3609質疑応答も含めて約2時間半にわたった公開セミナーの最後に、TOKYO ZEROキャンペーン顧問の蟹瀬誠一・明治大学国際日本学部教授があいさつ。キャンペーンの「呼びかけ人」である宮本亜門さんやとよた真帆さん、スギヤマカナヨさん、塩村あやかさん、藤野真紀子さん(代表理事)らも参加した公開セミナーは、盛況のうちに終了しました。

 

※「公開セミナー」におけるジェームス・サーペル教授と太田光明教授の詳細な講演内容、質疑応答は後日、なんらかの形で皆さまにお届けする予定です。


みんなで声をあげよう

104,560
が賛同しています

ネット署名はChange.orgを活用しています。ボタンをクリックすると当サイトを離れ、Change.orgに誘導します。

サポーター募集

あなたの助けが必要です
今すぐネット寄付