2019.12.17

院内勉強会 「動愛法、どんでん返しを防げ! ~本当の動物愛護を推進するために~」の議事録を公開します!

◆ 開催日時 ◆

2019年11月5日(火)16:45~19:00

◆ プログラム ◆

福島みずほ・超党派議連事務局長「改正動愛法の課題」
浅田美代子さん「現場報告・悪質繁殖業者とは」
入交眞巳・獣医師「数値規制の大切さと目指すべき水準」
太田匡彦・朝日新聞記者「環境省検討会での検討状況について」
質疑応答
(司会:塩村あやか参議院議員)

◆ 会場 ◆

参議院議員会館(東京都千代田区永田町2丁目1−1)・会議室B107

IMG_5472司会(塩村あやか参議院議員、以下司会) 今回の院内勉強会を共催している「TOKYO ZEROキャンペーン」呼びかけ人をしています塩村あやかです。本日は司会を務めさせていただきます。今年6月、参議院本会議で改正動物愛護法が可決、成立しました。来年6月の法施行になって参ります。8週齢規制が原則的に導入され、厳罰化も進み、数値規制を環境省令で定めることなどが盛り込まれ、一定の前進が、皆さまの力、そして国会議員の粘りで実現をしました。しかし、8週齢規制については日本犬が除外されるなど、最後の最後にどんでん返しが待っているのが、動物愛護法と最近の政治のお決まりになっているような状況でございます。

今回、数値規制について、皆さまと共に学んでいきたいと思います。どんでん返しを防ぐために、この勉強会を浅田美代子さんが中心になって企画をしました。みんなで、動物の命を本当に救うための法律にするために、頑張っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。まずは、今回の法改正で本当に力を入れて頑張ってくださいました福島みずほ参議院議員より、皆さまに今回の改正動愛法の問題点などを報告していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

福島みずほ・超党派議連事務局長「改正動愛法の課題」

IMG_5476福島みずほ参議院議員(以下、福島) 紹介していただきました社民党参議院議員福島みずほです。「犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟」の事務局長をしています。2015年2月にこの議員連盟を立ち上げ、2016年11月には動物愛護法改正プロジェクトチーム(PT)を設けました。それから2年半くらい、まさに動物愛護法の改正を目指してやってきました。これまでに12回総会を開き、動物愛護法改正PTは17回開きました。条文化作業チームは11回開いて、PT役員会は8回開いてるんですね。1回2、3時間やって、動物愛護法の一つ一つの論点が本当に奥深いということを、痛感しました。

今日は、まず皆さんに本当に感謝です。来てくださってます国会議員の皆さんももちろん、それからアドバイザーリポートの皆さんももちろん、そして応援してくださったたくさんの動物愛護団体の皆さんの力によって、ちょっとだけ不十分な点は正直あるんですが、でも、全会一致で動物愛護法の改正法が、おかげさまで成立をしました。皆さんのおかげです。どうもありがとうございました。

たくさんの国会議員が超党派で、本当に頑張ったということも知っていていただければうらしいです。山あり谷あり谷あり山あり、「こんなことがあるのか?!」という、障害物競走をやっているような感じでした。一つの獲得目標としては、やはり付則にあった7週齢を突破して8週齢を実現しないと、何のための議員連盟か分からないという思いがあって、その付則を削除するために、ものすごく苦労をしました。施行を公布から1年後にするか2年後にするかも大問題でした。

この改正が挫折するんじゃないか、座礁するんじゃないかという局面は、実は何度も何度もあったんです。でもそれを何とかまとめよう、何とかまとめようで、自民党のどうぶつ愛護議員連盟の会長の鴨下一郎先生のところに直談判に行ったら「分かった」と一言言ってくれて、それは本当によかったなと思っています。今後、8週齢規制はもちろん、改正法の施行状況に私たちは目を光らせていきます。それで、残ったのが飼育環境基準についてです。

議員連盟としては、いま臨時国会の最中ですが、この間に総会をやって、そこで了解を得られれば、動物愛護法プロジェクトチーム(PT)を立ち上げて、飼育環境基準について勉強し、意見をいい、提言できるようにしようと考えています。もちろん、皆さんたちからも意見を聞きます。

この飼育施設の数値基準なんですが、条文化作業チームで3回やりました。それぞれ2、3時間ずつやったのですが、例えばある自治体でですね、ちゃんとした数値規制をしないと、行政が何度も何度も立ち入っていながら、結局勧告ができないという事例の報告がありました。きちっとした数値規制がないと、業者を改善していけないという問題があるんですね。ですから、議連できっちりやりきって、自治体が業者に効果的に踏み込めるように、そして取り消しもできるように、客観的で、実効性のある数値基準にしたいと思います。

この前、環境省で数値規制についての検討委員会が開かれました。塩村さんと串田さんと私と市民の皆さんたち、あのときは太田さんもいらっしゃいましたが、みんなで傍聴していたんですが、ちょっとびっくりしました。というのはですね、飼育基準を厳しくしたらペットがいなくなるなどと発言する委員がいて、「えーっ」という感じですよね。つまりもう、基準はしっかりしないほうがいいんだみたいな空気が検討会では醸し出されていて、これは大変だというふうに思いました。それから検討会では、「これからメールでやりとりしましょう」という発言もありました。しかしそれだと、議論が見えない。決定プロセスが可視化されないので、これも問題だと思いました。

皆さんにお願いです。動物愛護法をこれから生かしていくと同時に、2年後に施行される飼育施設などの数値基準をしっかりいいものにするために、どうか本当に力を貸してください。今回の改正法で残した問題もたくさんあり、それは付帯決議などにも盛り込まれています。そのこともちゃんとやっていきたいと思っていて、国会の中でも、議員連盟でもいい議論をして、一生懸命勉強をし、皆さんたちから資料、意見、現場の声をいただいて、ちゃんと取り組みたいと思います。どうか、一緒に走ってください。よろしくお願いいたします。

司会 福島先生、ありがとうございました。それでは、次に、今回の呼びかけ人であります女優の浅田美代子さんに、ごあいさつと活動報告をいただきます。よろしくお願いします。

浅田美代子さん「現場報告・悪質繁殖業者とは」

IMG_5489浅田美代子さん(以下、浅田) 今日はお集まりいただき、ありがとうございます。やっと動物愛護法改正ができたのですが、皆さんもご存じかと思いますが、本当にやっと決まったっていうぎりぎりの段階で、日本犬については8週齢規制の対象から除外するとか、そういうどんでん返しがあったんですね。そして私が一番大事にしたいと思っているのが数値規制です。

数値規制というと、何かすごく難しそうに感じますけども、要するに数値なんですね。悪徳繁殖業に対して、飼育施設の大きさであったりとか、温度、そして従業員1人あたりの上限飼育頭数などなど、守るべき数値を決めていこうという話です。私がこれまで見てきた悪徳業者の崩壊現場などでは、80歳くらいの年齢の方が繁殖業を営んでいて、その人が老人ホームに入らなきゃいけないとか、倒れたとか、そういうことでどんどん劣悪な環境になっていくことが多いんですね。ですので、年齢制限も設けていただきたい。あとは、交配は1年に1回という数値規制も必要です。発情期のたびに交配させている業者もいますが、そういうところの母犬はもうぼろぼろです。7歳、8歳まで繁殖に使われて、顎の骨も溶けてます。だから、繁殖に使える上限年齢の制限もしてほしいと思います。「1年に1回で、6歳まで」とかそういう数値です。そういうことをきちっとしていかないと、悪質な業者は取り締まれないんですね。

海外では、しっかり数値規制をしている国があります。日本では今回の法改正でやっと「数値規制を定めましょう」という条文が通りましたが、でもその数値をこれから決めるのは環境省の検討会なんですね。そこがゆるゆるの数値を出してきたら、またこのどんでん返しになるんです。また苦しむ犬たちが救われないんですね。

悪質業者をきっちり取り締まるためには、数値規制がないとできないんです。数値規制は、本当に大事なことなんです。皆さんの声をいっぱい上げて、環境省に「きちんとしてくれ」ということを伝えていかないと、どんでん返しが、また数値規制でも起こる可能性があるんです。だから私はそこがすごく不安に思ってます。

何かをしゃべるよりも、写真を見せたほうがいいかなと思い、私がこれまで行ってきた繁殖業者の写真ですね。それを公開したいと思います。

これはピレネー犬などの大型犬種が積まれています。この子たちはずっとここに居っぱなしですね。ここはお産部屋。お産部屋だけは、ちょっと空調管理がいいんですね。子どもを産むために、1週間ぐらいはいい場所に入れている。でもこれで、いい場所なんですね。

そしてこうやって生まれた子どもたちは、競りに出されて売られていきます。いっぱいいます、こういう子たちが。これが親犬たちの姿です。親犬たちは、このケージから出ることも、一緒にお散歩をすることも、おやつも知らずに育って、ここで生涯を終えていきます。

こういうところがいっぱいあります。

この子はチェリーアイですが、治療もしてもらってません。治療しなくても産めればいいんです。ここは北関東のある場所です。私が行った当時は500頭いました。今は800頭いるとも聞いております。

これはゴールデンだと思いますが、もう立てない。横になることもできない。座ることもできない。背骨も曲がってました。それでもいいんです、産めれば。業者をそういう考えなんですね。

そしてこのような檻の下は金網になっていて、こう糞が落ちるようになってますが、足の細いプードルなどは、金網の隙間に脚が入ってしまって骨折したりします。それも放置です。骨折したまんまです。

これがこの業者のご飯でした。よく分かんないんですよね。ラーメンのようなものが入っている。そして近くの小学校からの残飯をもらってきてるそうです。そしてカリカリは、一番安いカリカリをふやかしています。だからみんな歯石もすごいですし、歯もぼろぼろです。こういうような業者が日本にどれだけあるか。これは埼玉でした。

こうやって、もう痩せ細って、がりがりで、毛玉だらけのよろいをつけて……。ここは私が7年前ぐらいに行きました。そして環境省に「お願いですから現地に行って調べてください」と、何度も頼みました。環境省は1度も行ってくれませんでした。地元自治体の保健所職員が来ても、入り口で立ち話で済んでるそうです。これを虐待と言わずに何と言うのだろうと、本当に思います。

そして、このときにレスキューできたこの子は、顎の骨は溶けてないし、足も骨折のまま放置されていました。年を取っていたので、やっとレスキューができました。

そして次、今年の6月です。岐阜の繁殖業者のところに行きました。これはペキニーズ専門でした。「ペキニーズのわりには太ってるな」と思ったら、全て毛玉とうんこ玉におおわれていました。すごい場所でした。もう臭いし、見た瞬間、何だか分からない。犬なんです。こんな状態でも産めればいいんです。

そしてここで生まれた子たちは、競り市では1頭40万円ぐらいで売れるそうです。そしてそれがペットショップでは80万円で売れているそうです。ペキニーズです、これは全部ペキニーズです。もう糞のじゅうたん。糞が山積みされて、糞のじゅうたんがすごかったです。臭いもすごいです。

この繁殖業者は崩壊でなく、小さくしたいと。自分ではちょっと難しいので、小さくしたいということで、その当時40頭いたのを20頭とか15頭ぐらいに減らしたいということで行きました。ところが「あ、この子はかわいいから持っていかないでください」とか「いや、この子はチャンピオンの系列で大事な子なのよ」とか、そういうことを言うんですね。

これは爪ですね。爪がもう伸びすぎて、肉にくいついています。ホコリまみれと、糞尿だらけ。そして私がびっくりしたのは、ネズミの子どもがウニョウニョいっぱいいました。衛生面でも絶対駄目ですよね。そして、ここに一緒に住んでるんですね、繁殖業者が。それもちょっと信じられなかった。

最近でいうと、ついおとといですね。那須の繁殖業者。ちょっとうちの犬の具合が悪くて私は同行できず、写真を送ってもらいました。ここはバーニーズとか大型犬を繁殖しているところです。ここにいるバーニーズ、立てないんですよ。立てないケージの中に入れられてている。プードルとかも、もうすごい毛玉なんですね。純血種の毛足の長いプードルだったり、シーズーだったりっていう子は、本当にこのような毛玉、糞まみれ。その状態で生きてなきゃいけないんですね。そして、この子たちは、産めなくなるような年齢になったら、勝手に処分されることが多いんです。レスキューされる子は、本当にごく一部です。

こうやって崩壊してくれれば、まだレスキューできますが、崩壊してくれない繁殖業者はまだまだたくさんありますし、そこで勝手に処分されてしまう子がいます。

この子は、もう脱腸のまま放置されています。これはパグでしたね。脱腸のまんま放置されていたり、もう目も何もぐちゃぐちゃだったり、そんな子ばっかり、こういうところに閉じ込められている。これが悪徳繁殖業です。

数値規制さえきちっとしていれば、「おかしいんじゃないですか、この環境」ということが言えて、ちゃんと助けることができるんです。でも今の日本の状況だと、数値規制ができていないから、どうしたって助けられないんですね。それをみんなで声を上げていかなきゃいけないと思います。

そして今一番危惧しているのは、こういう繁殖業者から生まれてくる子で、奇形が多いということです。チワワなんかは、水頭症の子がたくさんいます。そういう奇形の子は、業者のところで全て処分されるんですね。この子です。四肢が麻痺してます。子犬ですよ。生きてるんですよ。これが繁殖業者のところで生まれた奇形の子です。こういう子が本当に少なくない数、いるんです。

そして次。この子たちは生きてるんですよ。はい。この子はチワワですが、こう、何ていうんだろう、てんかんのように震えたまんま。これ、うれしくて食べてるじゃないです。もうずーっとこうなってます。こういう神経の奇形も生まれています。

悪徳繁殖業では、近親交配だの何だの、とにかく産めればいいんです。そして1匹でもいい子が生まれて、高く売れればいい。あとはいいんです。4匹生まれたうちの3匹がひどくても、1匹いい子が生まれれば、すごく高額で売れる。そういうことをしてるんですね。だから、こういう奇形の子たちは、もう闇に葬られています。

私の家にいる1匹の犬も、繁殖業者からレスキューしましたが、隅の段ボールに入れられていまして、「この子どうしたんですか?」と聞いたら、「あ、この子は咳してて、ケンネルコフだから、他の子にうつるし、売れないから処分なんだ」と言いました。処分です。私がレスキューして家に連れて帰って、とにかく病院に連れていったら、あまりにひどいところにいたので、肺炎を起こしてたんですね。肺炎は10日くらい抗生剤を飲ませれば治ったので、いま本当に元気に暮らしてます。でもあのとき、あの子と会わなければ、殺されていた運命なんですね。

こういった繁殖業者で、処分されてる子たちは、環境省や自治体が発表している殺処分の数には入っていないんですね。それがもう、どれだけ多いかと。これを規制しない限り、不幸な子たちは、もういつまでたっても救われません。私たちが声を上げていかないと、もうどうしようもない状況になってるんです。

これは個人的意見、個人的な考えですが、いまや15歳未満の子どもの数よりも、ペットの数のほうが多い日本になってきてます。なので、ある程度皆さん、犬や猫を飼っていらっしゃるんですね。一時みたいに、バカ売れしている状態ではないんです、ペットが。中には既に2、3匹飼っている方もいます。ですから例えばティーカッププードルであったり、ちっちゃいちっちゃいチワワであったり、そういう子たちを作って売ろうとする。小さい子ほど何百万円で売れる。変わった子を作り出すしかないということに、繁殖業者もなってるので、そういう意味で、こういう奇形の子がすごく生まれるのだと思います。奇形の子が助け出されることはまずないです。その場で繁殖業が処分してしまいますので。

こうした悪徳業者を規制していくために、この数値規制がどれだけ大事かということを、本当に考えて、声をあげてほしいと思います。環境省が数値を決めるんです。環境省に、何とかきちっとした数値を出してもらうように、私たちが、私たちみんなで動いていかなきゃならないと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

司会 ありがとうございました。いろいろな写真があって、普段、私たちが見ることができない現実を、今見ることができたのではないでしょうか。「殺処分ゼロ」という言葉をよく聞きますが、行政で行われる殺処分がゼロになったとしても、法律にまだまだきっちり規制できていない部分があるために、闇で処分される命がこうしてあるとういうことです。この現実を、皆さまぜひ、広く周知していっていただきたいと思います。それでは次に移ります。次は、獣医師で米国獣医行動学専門医の資格を持つ入交眞巳先生による講演です。数値規制の大切さと目指すべき水準についてお話しいただきます。よろしくお願いいたします。

入交眞巳・獣医師「数値規制の大切さと目指すべき水準」

IMG_5533入交眞巳獣医師(以下、入交) 私のほうからは、動物取扱業における適正飼育を促進するための、繁殖用に飼養する動物のいわゆる数値に関して、専門的な意見をお話させていただけたらと思います。

私たちの願いは、浅田美代子さんが先ほどおっしゃったように、パピーミルといわれる、いわゆる犬を大量繁殖しているような状況があることに対して、動物福祉の考え方のもとで繁殖をしてほしいということです。動物福祉の考え方のもとで、無理な繁殖をさせないために、数値規制というものがほしい。では動物福祉の考えのもとで何ができるのか。まず動物福祉とはどういう考え方かということについて、お話をさせていただきたいと思います。

アニマルウェルフェアという言葉は、アニマルは動物、ウェルフェアはウェルとファーレンという言葉に、語源的に分けられます。ウェルはご存じのように「よく」という意味です。ファーレンは「生きる」という意味があります。動物をよく生かしてあげるというのが、アニマルウェルフェアの言葉の意味だと思っていただければいいです。つまり、動物は人が資源として利用することを前提に、その動物に配慮して、動物が健康で、幸福で、安楽に満ちていて、苦痛とか苦悩とかがない状態にしてあげるという考え方です。私たちが管理している動物だからこそ、その子たちに幸せな環境を与えましょう、適切な環境を与えましょうということです。

この考え方ができたのはもともと、家畜、いわゆる私たちが食べてしまう動物、牛とか豚とか鶏とか、そちらのほうから出てきた考え方なんです。ですから、アニマルウェルフェアの原則というのは、動物の快適性を考える。動物っていうのは高い認知能力と感受性、それから複雑な社会を持つわけですから、その子たちに対して尊厳を持つ倫理を考えましょう。この考え方に、実は情は必要ないんです。かわいそうだから、という考え方は必要ではない。「えっ?」と思われるかもしれません。かわいそうというと、感情の戦いになってしまいます。でも、動物福祉はサイエンスの世界の考え方です。ですから、理論的にクールに動物の生活レベルを私たちは見て、それを高める方法を、科学的に追求することを目指します。

ですから、犬なら犬という動物を知って、その子たちにおいて、快適な状態は何かを考える。人とは違いますよね。テレビを見せて、ケーキあげておけばいい、ということではありませんよね。牛は牛、豚は豚、猫は猫。そういうふうに考えていきます。

ですから、動物への配慮として、もしその動物が苦しんでいて、その苦しみから私たちが救ってあげられない状況なのであれば、安楽死という方法も考えますというのが、アニマルウェルフェアの中には入ってきます。「殺処分ゼロ」とは少し違う考え方をしていて、どうしても救えないという状況で、このまま置いておいたら、この子たちはもっと苦しむことになるというのであれば、安楽死という、苦しみを取ってあげる処置もやむなしというように考えます。

動物愛護と動物福祉というのも、少し考え方が違いまして、数値規制を求めるにあたって今回、私たちが狙っているのは動物福祉のほうだと思います。動物愛護というのは「かわいがって保護すること」であり、動物を愛する情動というふうに理解されてます。これでいくと感情論で、「これでうまくやってきたんだ。俺は、こういうふうに愛してるんだ」と言われるとどうしようもなくなってしまいます。ですので、動物福祉という考え方が必要になります。

客観的に動物の快適性に配慮をして、それを目指すこと。動物の立場で捉えます。この際に、朝日新聞の太田匡彦さんがもしかしたら次にお話をしてくださるかもしれません、アニマルベースドメジャーという考え方に入っていったのかもしれません。動物を中心に考えたとき、動物が何を必要としているかということを考えることになります。動物ファーストになるわけですけれども、動物ファーストだからといって、「動物の権利」という考え方とは、ちょっとまた違っていまして、人以外の動物に生きる権利があるから、人以外の動物にも権利を与えましょう、人と同じようにという考え方ではありません。実験動物とか、畜産動物とか、補助犬などに関しても、この動物福祉を適用しましょうという考えたとき、それらの利用の仕方を廃止という考え方ではありません。

それでは、この動物福祉を適用しようという時に、基準がないといけない。それこそ数値です。基準がないと、人それぞれになってしまいます。そこでまず1960年、イギリスのブランベル委員会が「5つの自由」というものを考えなさいということを公表しました。

まず「空腹と乾きからの自由」ということで、理由なく水とか食べ物を与えないとか、栄養学的にバランスが取れていないものを与えません、そういうことはやめましょうという考え方。ちゃんとその動物種のことを考えて、その子にとって必要な栄養と、それから清潔で衛生的な水をちゃんと与えましょう。そういう考え方になります。

次ぎに「不快からの自由」。ストレスがない状態を、私たちは保証しないといけませんから、温度とか湿度とか音、におい、化学物質とか、そういうものが、その動物に対して、ネガティブになるような状態であってはいけませんという考え。

それから「苦痛、損傷、疾病からの自由」。これは痛み、病気などはあってはいけない。先ほど浅田さんのプレゼンで見ていただいた、私も初めてあんな状態を拝見しましたけれども、あんな状態で動物が疾病や痛みを抱えているまま、放置されているようなことはあってはいけない。このことから、獣医学的にどのぐらい監視しなきゃいけないなんていことも法律に書かれている国もあります。

「正常行動発現の自由」というのが4番目にあるんですが、これはその動物が本来持つ行動が発現できてなければいけないという考え方です。例えば、犬という動物は、何かあると立ち上がって2本足で立ち上がってキョロキョロ見るようなこともするので、犬のケージは、犬が立ち上がっても頭がつかない高さでなければいけない。また犬は、くるくる回って寝床で寝るのであるから、くるくる回れて、寝床がないといけない。そんなような考え方です。動物によって違いますので、その動物本来の行動を知らないと、これが分からないということになるので、動物それぞれを見て、その動物本来の行動を知って、その子に必要な行動がちゃんと出せるようにしますということ。例えば、極端な話、豚という動物ですと、土を掘る動物で、子どもを産むときは巣作りもするので、土、掘れるものがなきゃいけない。巣作りする道具がなきゃいけない。そんな考え方なんです。ですから、犬も猫も、同じように考えていきます。

「恐怖及び苦悩からの自由」というのは、恐怖とか苦悩がないこと。ぶったたくとか、投げるとか、つかんでぶら下げるとか、そういう恐怖を与えるようなことや、動物が苦悩するようなことはやってはいけません。ですから、その取り扱い方法とか、飼育場所とか、環境というのも重要ですよねということになります。足元が、例えば痛いような状態で、ずっとあるような状況。もうこれは苦しいですよね。かゆみがずっとあるとか、そんなものは与えてはいけませんという考え方です。

というわけで、動物福祉に則るとは、この5つの自由を考えて管理してくださいという考え方になります。

では、犬を例にお話しします。犬も猫もというと、それぞれ全く違う動物で、全然違う数値になって、全然違うケアになってきますので、ちょっと犬だけでご勘弁いただきたいと思います。日本の場合、飼育管理の基準については、犬のブリーダーは、登録が義務づけられていて、犬の飼育スペースに関して「自然な姿勢で立ち上がり、横たわること、日常的な動作を容易に行うため、十分な広さと空間を与えること」などが環境省告示に書かれている。繁殖開始、終了、生涯出産数の規制はありませんが、JKCによって、交配月齢が定められる。このようにきちっとルールがあるにも関わらず、うまくいってないし、全然それが取り入れられていない。

きっと動物福祉という考え方や、動物本来の行動を発現しなければいけないということについて、理解不足なのでしょう。「僕の犬は、このサイズのケージでもちゃんと出産できてるし、ちゃんとご飯食べてるし、僕は幸せだと思う」と言われてしまう。いまの動物愛護法では「大丈夫だと思う」と言われると、誰も文句が言えなくなってしまう状況なのかもしれません。正しいことが書いてあるんですが、具体性がないので、行政の方もうまく指導がしづらい状況なのでしょう。ブリーダーから「だってこれでいいもん」と言われちゃうと、行政の方も「はあ、そ、そうですか」となっちゃう状況なのかも知れないなと思っています。浅田さんのプレゼンで出てきたような状況を、業者の方は悪いと思ってないのでしょう。業者の方は誰もこれを悪いと思ってないから、たぶん堂々と見せていらっしゃるんだと思います。いまの法律の状態では。本来であったら、ちゃんと考えて、きちっとやってらっしゃるブリーダーさんが、ちゃんとご商売ができて、あまり考えてらっしゃらない方が改善できるような法律がなければいけない。だから今回、数値規制が求められているのでしょう。

繁殖施設における動物福祉を考えたときに、諸外国ではものすごく詳細に、こうしなきゃいけない、ああしなきゃいけないというふうに書いてます。外国では、繁殖業は日本のような状況ではないので、実験動物施設というところで、ちょっと取らせていただきました。

例えばハズバンドリー、「管理」という項目でものすごい冊子があるんですけれども、そのなかで例えばハウジング、犬を飼っている場所というのは、こういう条件を全部満たさなきゃいけないと事細かに書いてあります。

例えば、犬は社会的接触が必要な動物であるから、犬や人との接触が、ちゃんと1日何回もあるようにとか、その犬が必要な運動が十分できるようにとか、運動施設がこれだけあってこういうふうになっていて――などと書いてあります。広さは特に書いてないですが、たぶん「あなたたち常識的に動物福祉という考え方を知っているから、考えたらわかるでしょう」みたいな、考え方なのかもしれません。

あとケージの広さも、一番大きな犬が立ち上がって上にまだ余裕がある、その犬種の中で一番大きい子が立ち上がっても頭がつかないとか、書いてあります。それからもちろん、清潔であること、安全な環境であること。だからとがったものがあったり、さびてたりということはあり得ないということになりますよね。

腐った水が与えられたり、ご飯の腐ったのが置いてあったりというのも、安全ではないので、それもダメといったことも書いてあります。あとは屋内施設であれば、水がいつでも飲めるようになっている、だから何頭いたとしても、全員がいつでも水が飲めるようにという書き方をしています。何リットルと書いてしまうと、では1頭のときも10頭のときも何リットルみたいな、変な、たぶん、理解になっちゃうので、数値がないんだと思います。そこの場にいる全員が十分1日飲めるようにという書かれ方がされています。

食事とか、壁がどういう素材か、床がどういう素材か。排水施設はちゃんとあるか。ドアはどういう状況で、どんな素材を使っているのか。窓はいくつあって、どのぐらいの大きさで、光がどのぐらい差し込むのか。そんなこともちゃんと規定されていたりします。それから温度、湿度、空調、明るさ、騒音、化学物質。これも全部、犬が正常に生活できるような水準の規定が書かれていました。

環境エンリッチメントといって、犬が犬らしく生活するためには、やっぱりおもちゃが必要だったり、仲間が必要だったりします。おもちゃはどうなっているのか、人間との遊び時間はちゃんと確保されているのか、ストレスなく犬らしい行動ができるような環境であるのかとか、書かれていて、しかも記録をちゃんと取っていることも求められている。だからいつ視察が入っても、何がいつどういう状況であったかっていうのが、きちんと記録されてないと「あなた、アウトですよ」ということになる。

あとは週末。動物の管理をしている方々が週末はお休みしないと、人間の福祉が問題になりますから、人が休日を取った場合は、誰が代わりに来るとか、どういう交代制になっていて、確実に何人人がいるのかみたいなことも、規定されていました。また動物が移動するときはどういう素材で、どういうふうに移動してなんていうことも、事細かく文章で書かれている、そんな状態でした。

こういう実験施設でも、やっぱり繁殖はするわけですから、繁殖についてもすごく細かく書いてあって、読み切れないぐらいでした。もし産ませる場合は、お母さん犬が必要な面積を、このアメリカのUSDAの数値ですと、母犬の最低必要面積は、お母さんの鼻の先っちょからお尻の尻尾の付け根までの長さプラス15センチの2乗とか書いてありました。子犬が生まれたら、子犬1頭につき、そのお母さんの必要な面積の5%はプラスしていくといふうになっていました。これが、「あなた、最低ラインですよ」と。

あとは明るさですね。光があたるのが何時間、暗い状態が何時間。動物にとっては、ずっと明るい電気がついてるというのもまたストレスになりますから、何時間明るく、何時間暗いっというのも、きちっと規定されていたり、母犬のケアはこういう場合どうしよう、子犬のケアはこういう場合どうしよう、獣医学的ケアはこうしろ、ああしろ、こういうときは獣医師を呼べ、そんなことも全部書いてあって、さらにお母さんの食事はこういう場合はこれこれのカロリーだけ必要だから、この体重に対してこれぐらいのカロリーを考えなさい、子どもには関しては離乳しているときはこうしなさい、ああしなさい、全部書いてあります。

それから、駆虫やワクチンはもちろんのこと、子犬の社会化なんかも全部書いてあって、最後に、全部記録取ってなさいよと。もしUSDA、アメリカの農水省が視察に急に入っても、全部見せられるようにしておきなさい。そんなことが規定されていました。

ちょっとここで、諸外国の規定にはどんな数字があるのということで、ご質問をいただいていましたので、多くの国は数字では書いてないんですけれども、環境省が公開している資料には数字が書いてある国の事例が載っていましたし、あとはいま東京大学の大学院生でいらっしゃる方が、諸外国でアンケート調査をして、数値を出しているところの数値を発表されていましたので、その一部のデータをこちらに持って参りました。

オランダに関しては、犬の飼育ベースはこれを下回ってはいけませんよとか、スウェーデンではこうですよとか、そんなことが書かれていました。

ブリーダーということになると、諸外国はいろいろまた細かくて、プロフェッショナルブリーダーと非プロフェッショナルブリーダーというのにわけられていて、規制内容が異なります。というのは、自宅で趣味でやっている場合に、何メーターかける何メーカーと言われると、「えっ、うちのは居間で走り回ってるけど、犬舎はちっちゃい」といった問題が出てきますから、非プロフェッショナルの方は別個に考えるというふうになっているようです。ではプロフェッショナルは、どういうふうに規定するか。フランスだと例えばメスを10頭有して、年間にそのメスの内2頭以上が出産するようなブリーダーで、証明書を持っていて、納税公表をしなきゃいけなくてとなる。

非プロフェッショナルにしろ、プロフェッショナルにしろ、母体に影響があるほどの繁殖はまずいですから、規定はありまして、すごく厳しい規定を設けているところと、比較的緩い規定だけれども例外事項みたいな感じでいっぱい書いてあるところと、お国柄によって規定事項が違うようでした。

ただやはり、ベースは動物福祉で、動物が何しろ幸せで、苦しまないようにするには「こういう文言や数値が、うちの国は必要だよね」という感じで書いてあるのかなというのを、読んでいるうちに感じとりました。このまえRSPCAの検査員が日本にいらしてお話をうかがったのですが、イギリスでも、こうやって動物福祉として数値を入れ始めたのは25年前だそうです。それまではやはり、とんでもない状況もあったそうです。今でもとんでもない方はイギリスでもいらして、「僕たちの仕事は終わらない」という話をされていました。

オーストラリアでは動物福祉を確保するために、登録ブリーダーをどういうふうに規定するか、どう数字を決めるかというのを、シミュレーションしたようです。社会への負担、人が動物をいくらで買った場合にどれだけ売れて、いま飼育頭数がこれぐらいあって今後このぐらいになるから、ブリーダーという職業が成り立つためにはこれだけの登録料を取ったらどうだろう、政府への負担はどうだろう――など、いろいろシミュレーションをして、その結果を踏まえて現実的な改正を行ったそうです。

私たち日本でも、その動物のウェルフェアを考えるというのが動かせない基本で、ではそれを踏まえた上で、日本では何ができるのかと考えたほうが、もしかしたらいいのかもしれません。やはりバランスを考えて、ペット産業の中で、良くやっている方々が健全に発展できて、良質なブリーダーを社会として育てることができて、消費者の関心もちゃんと向けられて、一方で動物福祉を損なう可能性のあるブリーダーをちゃんと取り締まっていけるような数値規制というものを考えていければいいのかなというふうに、先ほど紹介した東大の大学院生も論文を書かれていましたし、私もそのとおりだというふうに思っております。劣悪なブリーダーを誰も見逃さないで、皆がハッピーになって、正しいものだけがちゃんと利益を得るような数値とはどういうものだろうかと考えていければいいのでしょう。

そして数値による基準値にプラスして、自治体の動物愛護推進委員の中から例えば動物福祉調査員みたいな方を選び、その方々がブリーダーの監視や視察ができて、ちゃんとアドバイスできるような環境が、将来できたらいいなとは思っております。

また、ブリーダーに対する勉強会を開催するとか、動物福祉の考え方をちゃんと分かったコンサルタントのような方を入れて「あなたの施設でこうだったら、あなたはおそらく何頭までしか飼えないと思う」、「施設はこういうケージを」といったようにちゃんと指導きるような方を育成するとか、そういう状況を同時進行でつくっていく必要があるかもしれないとも思います。そうでないと、何かまた法の隙間をぬって訳の分からないことをやるみたいなブリーダーが出てくることを防げなくなってしまうかもしれません。

また、自治体でいま「殺処分ゼロ」を目指していますが、もしかしたら自治体における安楽死を含めた提案というのも考えなければいけないかもしれません。これはいろんなご意見があるかもしれません。ただ、例えば行政が監視指導のため立ち入り調査に入ったとき、本当にぼろぼろの状態の犬や猫がそこにいて、ブリーダーが勝手に土に生き埋めするというような事態は絶対あってはいけない。では、その子たちを誰がどう助けてあげられるのかというと、もしかしたら行政による安楽死という選択肢が最も動物福祉にかなっている可能性があるわけです。

だから動物愛護団体も、行政施設における「必要な安楽死」というのを認める必要があるのかもしれない。そうじゃないと、行政は、ぼろぼろの犬や猫を抱えてどうしようもなくなってしまう可能性がある。

最後に、やはり一番大切なのは、その動物のニーズ。犬なら犬のニーズ、猫なら猫のニーズ。この子には何が必要か、本当に科学的に考えて、クールに考えて、かわいそうだからではなく、クールに考えたときに、このサイズ、この状況、この天井、この床材、この温度、この湿度、明かり、人。そんなふうに考えていって数字を作っていければいいかなと思います。

数字だけあったらいいのではなく、動物福祉が最初にある。そのためのアニマルベースメジャーの考え方だと思います。まず数字があって、でもアニマルベースメジャーも必要。数値にかなっていても、動物に負担になっているのであれば、それは違法であるということも法律に書いてほしいです。「ほら数字は全部OK」だけど、動物を見たら「ん?」という事例がこれから出るのではないかと思います。そういう場合にやはり「動物福祉的に、これ駄目だよ。アウト」というためにアニマルベースメジャーを盛り込むことはあったほうがいいのです。

動物の専門家として、「動物福祉に則って、数値をどう考える?」というお話をさせていただきました。このようなすてきな機会をいただきまして、ありがとうございました。

司会 入交先生、ありがとうございました。実に現実的な話もあったかと思います。浅田美代子さん、今の話を聞いていかがでしょうか。

浅田 先日も福井県のパピーミルが、動物愛護法違反については不起訴になっちゃったんですね。あれは確実に虐待だと分かるのに不起訴になってる。例えば先ほど私がお見せした岐阜の繁殖業ですが、この業者は1カ月前に第1種動物取扱業の登録が更新されてるんです。それももう信じられない。私が業者のところに行った時、保健所の担当を呼んで「なんでこれが更新なんですか?」と聞いたら、もうしどろもどろな感じでした。行政がきちっとしないとどうしようもないわけで、だからこの数値規制を厳しく定めていただくよう、国会議員の先生、地方議員の先生方、そして一般市民の皆さんにも頑張っていただきたいと思っています。

司会 ありがとうございます。今の話を聞いて、おそらく地方議員の方は、おかしな繁殖場とか、ペットショップがあったときに、自分がどのように行政と関わっていけばいいのか、ヒントがあったんじゃないかなというふうに思います。さて今日はお忙しい中、多数の国会議員に応援に駆けつけていただいております。1分ずつぐらいになるんですけれども、メッセージをいただきたいと思います。来た順番でお願いします。まずは衆議院議員の串田誠一先生、お願いいたします。

国会議員からの挨拶

串田誠一衆議院議員 串田でございます。本当にあのどんでん返しが、数値規制でも行われないように、しっかりと数値規制についての議論を監視をしていきたいと思います。また法務委員会でも、先ほど出てたような業者はもうまさに動物虐待だと思いますので、ぜひ起訴するようにと、強くこれからも働きかけていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

司会 串田先生、ありがとうございます。続きまして、川田龍平先生。お願いいたします。

川田龍平参議院議員 皆さん、こんばんは。参議院議員の川田龍平です。私は今回、行政監視委員長になりました。参議院のホームページの右手のほうに、行政に対する苦情窓口というのが、今年3月1日からできました。これは、法律が執行されているかどうかということについて監視をするというものです。外国ではいわゆるオンブズマン制度というのがありますが、それが行政府の中にあるオンブズマンと、立法府の中にあるオンブズマンとありまして、その立法府の中のオンブズマンが、この行政監視委員会というものです。これがなかなかこれが活用されてこなかった。できた当初は使っていたんですけれども、最近ではちょっとあまり使われてなかったということもあって、ことし参議院の定数が3人増えて、3年後も3人増えて、計6人増えるんですけど、定数増の理由というのがですね、この行政監視機能強化ということが理由で定員が増えているんですけども、ぜひ皆さんからの苦情窓口として、ぜひホームページから、ぜひ入っていただければと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。

司会 ありがとうございます。続きまして、衆議院議員、松田功先生、お願いいたします。

松田功衆議院議員 皆さん、こんばんは。お疲れさまでございます。立憲民主党衆議院議員の松田功でございます。動物自体は言葉が発することができません。愛すべき動物たちに対して、愛情を持って接することは忘れてはならないことだというふうに思っております。私自身も犬を飼っておりますけれども、そういった意味で、動物は愛情をそそいだら、必ず返してくれると。いつも言われるんですが、人は裏切るけど動物は裏切らない。しっかり愛情を注いでいけるように、法改正のほうもしっかり注視しながら、取り組みを進めさせたいいただきたいと思います。よろしくお願いします。

司会 松田先生、ありがとうございました。続きまして、衆議院議員の堀越啓仁先生、よろしくお願いいたします。

堀越啓仁衆議院議員 皆さん、こんばんは。立憲民主党衆議院議員の堀越啓仁でございます。私も当選以降、環境委員会の中で、この動物愛護法に関して取り組んできたところでありまして、8週齢規制の除外規定に関しては、質疑的発言ということで、発言させていただきました。立法事実として、そもそも全くこの除外規定というのは、認められるものではないというふうに私は思っておりますので、これが外されて厳格化できるように、これからも取り組んでいかなければいけない課題であるというふうに思っております。

そして、さらに言えば、本来動物愛護法ということで言うのであれば、やはり私としてはですね、畜産動物や実験動物、あるいは動物園等々で、飼育されている動物についてのアニマルウェルフェアも、しっかりと向上させていくということが、何よりも重要だというふうに思っておりますので、この動物愛護法によって守られないものが、もしあるのであれば、動物福祉基本法のような法律を、やはりわれわれで作っていくことも視野に入れながら、皆さんと共に取り組んでいきたいというふうに思っておりま。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

司会 ありがとうございました。続きまして、朝日新聞記者の太田匡彦さんによる講演を聞いていただきたいと思います。環境省検討会での検討状況についてでございます。よろしくお願いいたします。

太田匡彦・朝日新聞記者「環境省検討会での検討状況について」

IMG_5564太田匡彦記者(以下、太田) 朝日新聞の太田です。動物に関わる方は優しい方も多いですし、なかなか環境省に対して言いにくいこともたくさんあられるように思うんですが、私の仕事というのは厳しいことを言ったり、行政のあり方等をチェックしたりしていくことでもあるので、本日は多少厳しめの話をさせていただこうと思っております。

若干、背景の話をしておきますと、私ども朝日新聞のほうで毎年、「犬猫等販売業者定期報告届出書」というものについて、全国の自治体に調査をしておりまして、犬猫のおおよその流通量みたいなものを調べています。それは前回の法改正で調べられるようになったんですが、2014年度以降、犬猫の流通量はだいたい80万匹。これは繁殖業者からペットショップに行った場合も1匹と数えるので、だいたいの延べ数だと思っていただければと思うんですが、トレンドとしてはこういう数字になっています。犬猫合わせて80万匹ぐらいが、毎年流通しているのが日本の状況です。

この中で、実は死亡数というのも業者は書き込まなければいけません。死亡数は、2段目のところですけれども、犬猫合わせると毎年2万4000匹います。定期報告届出書の提出は義務になっているんですけれども、守ってない業者もあります。例えば、大阪市なんかですと、回収率が50%ぐらいだったりします。ですから、流通量も死亡数も、これが最低ラインのところだと思っていただければと思います

この流通量、死亡数に対して全国に犬猫等販売業者が1万5000カ所、繁殖を行う業者が全国に1万2000カ所という登録状況になっています。

これらの業者に対して今までどういう法律がはまってたかというと、動物愛護法の下にある「第1種動物取扱業者が遵守すべき動物の管理の方法等の細目」というものです。ここに書かれていることが、いわゆる定性的な表現で、これによって今まで日本における繁殖業者というのは取り締まられてきたわけです。先ほど、入交先生のお話の中でもありましたが、「個々の動物が自然な姿勢で立ち上がる、横たわる、羽ばたく等の日常的な動作を容易に行うための十分な広さ及び空間を有すること」と書かれていたりします。浅田さんがプレゼンで示された写真の中では、明らかに立ち上がれなさそうなものもあったわけですけれども、この文言だけでは全く取り締まれてこなかったという現実があるからこそ、冒頭、福島先生のお話にもありましたけれども、今回の2019年の法改正では、きちんと数値を省令で定めてくださいねということが盛り込まれたわけです。

ちなみに、有名な写真がありましたけれども、こちらは福井市の繁殖業者の写真です。この状況で飼っていても、この細目の規定は、どうも守られているんだというのが、今の日本の現状です。自治体では、この状況を動物愛護法違反であるということが認定できません。検察の判断でも不起訴になっています。

この写真は茨城の繁殖業者です。大型犬が、これほど痩せ細って、この小さなケージで繁殖業者に飼われているにも関わらず、茨城県の動物指導センターは、これも動物愛護法の違反であるというふうには認定できませんでした。

静岡県、これは甲斐犬の繁殖業者ですけれども、先ほど浅田さんのお話の中に、高齢の方がやっているという話がありましたが、ここは70代半ばの方がやっていました。その人1人で24頭の甲斐犬を面倒見てました。猟犬種の中型犬です。70代半ばで、幼い犬だと1歳くらいの子もいましたから、本当にその人が最後まで繁殖業を営めたかどうか分からない状況だけれども、これに対しても静岡県は、例えば、「1人あたり何頭まで」という決まりがないので、この業者に対して何も言えないと。

これ、甲斐犬のケージとしては、明らかに小さいんですね。これはまあ大きいですけれども、床はこういう状況です。こういう状況で甲斐犬が飼われていて、本当に先ほどお示しした細目の「自然な姿勢で立ち上がる」という規定を、これが満たしているのかどうかというと、はなはだ疑問なわけです。

この子らは、首輪ができないわけですね。あとでボランティアさんが入ってみたら、首輪ができるような管理をされていなかった。だから出せないんですね、ケージから。だからこの中でずっと排泄をするしかないという状況で飼われていました。

埼玉県の猫の繁殖業者です。こういう状態ですね。病気の猫で治療されていない子もいます。こういう状態で飼われていても、動物愛護法違反には問えません。

これは引取屋です。ワイドショーなんかでも取り上げられて有名になりましたけれども、こういう状況でも、栃木県の動物愛護指導センターは「虐待ではない」と言っていたわけです。

これに対して、実は2011年の段階で「数値規制、決めたほうがいいですね」というのは、環境省の動物愛護部会の中で言われていました。2011年12月、まだご記憶にあると思いますけど、前回の法改正のときは民主党政権で、閣法でやろうということで、小委員会を立ち上げて大変ていねいな検討を繰り返し、その小委員会が動物愛護部会に報告した内容には、「可能な限り科学的根拠に基づく、現状より細かい規制の導入が必要である」などと書かれています。「繁殖回数及び繁殖間隔について、規制を導入すべきである」などという意見もこの報告書に書かれていました。

普通これを読んだら、次の12年の法改正に盛り込まれるのか、12年の法改正に盛り込まれなかったとしても、法が改正されたあとに省令でやるなら、すぐに次の検討会を始めるべきなのに、これに対して環境省がようやく検討会を立ち上げたのが、実は2018年3月5日です。

こういう報告書があるにも関わらず、検討会を立ち上げた当時の動物愛護管理室長は、私の取材に対してですけれども、「数値規制の必要性の有無から、もう一度洗い直しになる」と言いました。さらに「規制をするにしても、最低レベルの基準になるだろう」というようなことも言っていました。これが、今回2019年の法改正の前の状況ですね。

ちなみにこの検討会というのは、大変不思議なことに、議事録が公開されていません。議事概要という形で、誰が何をしゃべったか分からず、環境省がピックアップした発言のみが、議事概要に載ってます。傍聴できるんですから、なんで議事録が公表されないのか分からないんですけれども、その中では、例えば第1回検討会では、法律学者の立場からご参加された委員の方ですけれども「トレンドとしては、こと細かに数値の基準を定めるより、いまのような定性的な到達目標みたいなものを」、「こんなに厳しくやるべきという時代感覚じゃないですよね」というような発言が出たりしていました。

これはおそらく、則久室長が、前提として、前述のように考えていたわけですから、それを受けた流れの中で進んでいった検討会であるというふうに考えたくなります。

で、第3回検討会の中では、先ほど福島先生のご発言の中にもありましたが、動物行動学者の方がこんなことを言っていました。「いまの日本で適用するのはおそらく不可能じゃないかなと思います。これをいきなりやってビジネスが立ちゆかなくなった時に、日本の現状がまだ支えきれる状態になっていないと思う。ビジネスもそうですし、飼い主さんが飼いたいという時に供給されない事態になってしまう」。しかしこの検討会は、動物の適正な飼育管理方法等に関する検討会なんですね。動物の飼育管理のことを考えなければいけないのですが、ビジネスのことをご懸念されている。

あとこの方の発言に似た主張はよく出てくるんですが、「日本で飼われていることの多い犬種と、海外の、特に論文で取り上げられているような犬種はちょっと開きがあるというのは否めないと思う」というご発言もありました。8週齢規制のときの議論について、皆さん、ご記憶にあると思うんですが、全国ペット協会やペットフード協会は、海外の論文というのは日本の犬と違う犬なので、8週齢の議論には参考にならないというようなことを、しきりに言っていました。そういった業界団体の主張を、ちょっと私は想像してしまいました、このご発言からは。

さらに第4回の検討会なんですけれども「やり過ぎると値段が上がるという可能性がおそらくあって、動物取扱業がそういう素晴らしい環境を実現してなおかつ供給ができるのかというところを、ちょっと気をつけておかないといけない」、「以前の法改正でもやっぱり厳しくなったことで、そこにもうついていけなくて業者が減っていったりですとか、それから動物が放置されたりですとか、動物が管理できないのでどこかに渡されてひどい状態でまた飼われたりとか、そういうことが起きてきた」、「値段が上がったりすることで買える人が減ってくる、飼う人が減ってくる。そのことで、動物愛護というものから遠ざかってしまうのは、本来目指していることとはまた違うと思う」とご発言がありました。ご懸念は分かるんですけれども、「動物の適正な飼養管理方法等を考える検討会」において、少しピントがずれてるなというのは、これは私の個人的な感想です。そもそもですね、動物を放置する、まあつまり遺棄をするということだと思うんですが、今回の動物愛護法の改正において、動物遺棄については懲役刑というものも盛り込まれる、厳罰化されることになった、問題のある犯罪行為なんです。消費税が上がって、ちょっと家計が苦しくなりました。そうしたら泥棒をする人が増えるじゃないか、なんて理由で消費税を上げないなんていうことはあり得ないですね。

かつ、ここで、「どこかに渡されてひどい状態で」というのは、先ほどご紹介した引き取り屋なんかも実はそうなんですけども、引き取り屋みたいな飼い方を許さないために、数値規制が必要なんだということで、数値規制を設けようという法改正が行われたわけです。実はこのご発言に対してはですね、長田室長がこういうふうにおっしゃっています。「ご指摘の通り、基準が厳しくなれば、販売される動物の価格は上がって、動物を入手しにくくなるということはあると思います。今回、基準を定めていくということと、流通や入手、販売価格の関係をどう考えるかということについては、基本的にはそういう間接的な影響はあるにしても、やはり本来の目的である動物の健康・安全、それから生活環境の保全上の支障の防止の観点から妥当と思われるものは、やはり明確化をして、適切に運用していくということにせざるを得ないというか、それが法律の要請であると、そういうふうに理解をしています」と。

なんか渋々感が伝わってきちゃうんですけれども、いずれにしても、第1回の検討会というのは、今回の動物愛護法の改正が行われる前にスタートしました。2018年3月です。そこから、まあその間に室長も交代しまして、今年6月に動物愛護法が改正されて、そのうえでこの第4回検討会、2019年8月30日ですけれども、開かれています。数値を決めようという流れは出来上がっています。出来上がっていると信じたいです。

先ほど入交先生のほうからのご紹介もありましたが、まあドイツなんかですと、例えば犬のケージは犬の体長の2倍の長さに相当し、どの1辺も2メートルより短くてはいけないといった数値規制があります。確かに犬種による体格差が大きい犬に対して、必ず2メートルと決めるのはおかしいかもしれないけれども、こういうふうに、「体長の何倍ですよ」というふうに決めれば、全然適用できるわけです。自治体の職員の方がメジャーでも持っていって、メジャーを持っていかなくても、それこそJKCが各犬種の標準的な体格というのは決めてるわけですから、そこにプードルがいれば、何センチ以上なければいけないですねっていうことは、大体分かるわけですね、これで。汎用性もあると。

イギリスの場合は、まあざっくりといえばざっくりなんですけども、体重が20キロ以下の犬については、犬舎の最低面積が4平方メートルとあります。これぐらいあると、さっきの浅田さんがご紹介された飼い方とかは、少なくともできないんじゃないかなというふうに思います。

あとは先ほど検討会の議事録が公表されていなくて、議事概要が公表されていて、その結果として、まあ環境省が発言をピックアップしてるという話を申し上げたんですが、第4回の検討会では、床材の問題が出てました。佐藤衆介先生がご発言されていました。床材という話を持ってくるとですね、先ほど来の写真がありましたけれども、繁殖業者って、だいたい床面は金網にして、その下にトレイを置いているんですね。で、あらゆる科学的根拠を考えてですね、金網の上で生活している動物っていないはずですね。だから「床材として金網は禁止ですよ」と書くとですね、ずいぶん事態が変わってくるはずなんです。第4回の議事概要で、床材の話を環境省がピックアップするかどうか注目です。

あと出産回数なんかも、各国いろいろ決まっているわけです、数字で。この間の検討会で面白いなと思ったのは「生涯で何回って決められませんよね」ってある委員が言うんですね。それはまあそうかもしれない。でもイギリスは決めてる。イギリスは確か、年1回までで、6歳までみたいな決め方だったと思うんですが。結果として生涯6回になる。「年に1回まで」というか、「間隔をあけましょう」みたいな決め方をすれば、それはね、人間だろうが犬だろうが、それぞれ個体差があるので生涯何回ということまで決められなかったとしても、ある程度の間隔は決められますよねっていうふうに思うんですね。

だから、何か無理をして、さも決められないような議論をするんじゃなくて、こうすれば合理的なかけ算なり、間隔なりで、数値が盛り込めますよねっていうことを考えていく、その知見というのは、世界中いろいろなところに散らばっているんだから、それをちゃんと集めればいいんじゃないかなというふうに思っています。

先ほどの長田さんの発言もご紹介しましたが、今回、法律でも決まったことだし、数値規制は行われるだろうと思うんです。ただここで、アニマルベースメジャーという単語が出てきます。

これも入交先生のお話の中にありましたけども、元々これは、『アニマルウェルフェア』というご著書もあられる佐藤衆介先生が、畜産関係の動物について中心にやってらっしゃる先生ですけれども、第1回の検討会で、これはちょっと環境省が議事概要に記したまんまを引用しましたけれども、「数値の設定が、動物福祉の改善につながっているかは重要。ウェルフェアとは、動物がどうなっているかが最重要であり、アニマルベースメジャーによる規制が基本的な考え方」だという話をされました。つまり、数値があります、その上で、動物どうなってますかっていうことが重要だという話をされたんですね。

これに対して環境省の資料を見ていくと、第2回の「検討会の進め方」というペーパーを見ると「アニマルベースメジャーの考え方をどのように反映していくか」と書かれて、下線が引かれてたりします。

第3回の検討会では、これは「第2回検討会までの基本的な方向性・確認事項」というペーパーですけれども、「アニマルベースメジャーの考え方が動物種を問わずベースとなるものであり、定性的なものになるが、犬猫からは虫類まで適用可能」というのが書かれていた。これはたぶん、皆さんのお手元にお配りしているんじゃないですかね。アニマルベースメジャーうんぬんというのが、まあこの方向性・確認事項の一番上に出てくるわけですね。

普通、上に書くものっていうのは、上に書くものから優先されていくものであろうし、上に書かれているものが前提になって話が進むんだろうなと思うわけです。

さらに、第4回の検討会の資料の中には、「適正な飼養管理の基準の具体化に係る検討の方針について」というペーパーが配布されました。要するに、今後どういう方針で、この検討会を進めていきますよというのが箇条書きになったんですが、やはり「アニマルベースメジャーの考え方を基本として、動物の行動や状態に着目した検討を進める」と書いてあります。

これは繰り返しになりますけれども、結局数値規制を積み重ねてきた欧米において、じゃあその数値が守られた施設の中で、本当に動物の心身の状態が良好に保たれているかどうか分からない。では一歩進んで、その数値規制がある上で、その規制下の飼育管理や飼育施設の中で、個々の動物の心身の健康がしっかり守られているかどうかをチェックしていきましょうということで、アニマルベースメジャーがあるわけですね。

ですから、先進的だからといって、定性的な基準を設けるようなことになってしまったら、定性的なものは汎用性が高いからといって持ってきてしまったら、最初にお示ししたような写真の状態、浅田さんがプレゼンされたような繁殖屋の状態というのは、全く改善されないことになります。一体何だったんだ、あの法改正は、主客転倒になってしまうじゃないかというふうに、私は思います。このアニマルベースメジャーという単語が全面的に出てくるような情勢に、まだまだなっていくようであれば、大変注意が必要だなというふうに感じる次第です。

いま環境省の検討会の進捗のお話をしましたけれども、ペット業界側はですね、実は結構もう真剣に動かれています。まあ真剣にというか、そもそも「犬猫適正飼養推進協議会」というのは、もう環境省の検討会が立ち上がる前にできているんですが、ZPKですとか、ペットフード協会、ジャパンケンネルクラブ等々の、いわゆる業界団体の横断的な組織でロビー活動をやってる団体さんなんですが、ここが、もう法改正が終わったところから、積極的に既に活動していて、おそらく12月ごろに、自主規制のガイドラインというものを出してくるペースで、いま作業を進めているやに聞いています。

これは協議会の内部資料ですね。見ていただければ、欧州は結構広めですねと。真ん中あたりの国内の現状があります。むちゃくちゃ狭いという自覚はあるんですね。それで右側に、国内で法規制、または業界基準を作るとしたら、というのを書いてあるんですね。欧米並みにやればいいのに、わざわざちょっと小さめの絵を描いている。そのへんの大きさを狙って、ロビー活動をされているということは、よくご理解いただいたほうがいいかというふうに思っています。

余談ですが、この業界の方々の欧米のデータの使い方はなかなか面白いです。彼らが配っているロビー活動の資料を見るとですね、「業の定義」を欧米先進国と同じレベルの「犬または猫では年3回を超える場合としていただきたい」というロビー活動をしています。

これは何かといいますと、現状では「年2回以上、または年2匹以上」繁殖、販売させた場合は、動物取扱業の登録が必要です。これだとホビーブリーダーがいなくなってしまうと。ホビーブリーダーとは、何のことを言っているのか分からないという話は、私、記事に一回書いたことがあるんですが。いずれにせよホビーブリーダーとやらを育成するには、欧米先進国と同じレベルの年3胎を超える場合にしてほしいと。

あとは、犬を飼うと健康になるという話も彼らはよくするんですが、そういうときも欧米の論文を持ってくるんです。でも8週齢規制や数値規制に反対するときは、「欧米の犬と日本の犬は違う」と言うんですね。犬を飼って健康になるという話を欧米の論文なんかを彼らが引用しているのを聞いていると「いやでも、欧米の犬、大型犬だから、散歩量が違いますよね」とか言いたくもなるんですけど。

いずれにせよ業界団体はいま、年3胎以内の販売までは登録しなくていいようにすべきだると、ロビー活動をしているわけです。8週齢規制には賛成した全国ペット協会も、4腹以上を基準としてほしいと言っている。

これはどういうことかというと、犬は小型犬だと、一度に生まれる数はだいたい2、3頭から、まあ多くて4頭ぐらいですかね。大型犬だと8頭ぐらい。猫は4頭から8頭ぐらい産みます。さっきの大型犬の悲惨な状況を見せましたけど、仮に雌の大型犬を3頭飼っていて、その子が年に1回8頭産んだとしたら、24頭販売しても業の登録しなくていいでしょ、ということを彼らはロビー活動をしているんです。

ちょっと飼養施設の基準とは話がずれるんですが、厳しい基準が持ってこられそうになると「欧米の基準は適用できないんじゃないか」という話をしつつ、規制を緩めてほしいときは欧米の話を持ってくるっていう、ペット業界のダブルスタンダートの話をちょっとさせていただきました。

最後にですけれども、今回の法改正、かゆいところによく手が届くようになっているなと思っています。先ほど入交先生がご懸念事項を示してました。検討会における動物行動学者の委員のご懸念事項にも通じるものだと思うんですが、第24条の2で「都道府県知事は、第1種動物取扱業者について、第13条第1項若しくは第16条第2項の規定により登録がその効力を失つたとき又は第19条第1項の規定により登録を取り消したときは、その者に対し、これ らの事由が生じた日から2年間は、期限を定めて、動物の不適正な飼養又は保管により動物の健康及び安全が害されること並びに周辺の生活環境の保全 上の支障が生ずることを防止するため必要な勧告をすることができる」としていて、さらに「都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかつたときは、その者に対し、期限を定めて、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる」と書いてあります。登録が取り消されたり、廃業したりした場合にでもですね、2年間の間は改善勧告、改善命令ができるんですね。今まで、取り消し処分にしたら、その業者が犬をどこかに捨てちゃうんじゃないかという懸念を、皆さんしていたと思います。動物愛護団体がレスキューに入って、動物愛護団体に負担がかかるんじゃないかと、みんなご懸念してたと思います。それに対しては、取り消しになったり廃業したりしたとしても2年間、行政は、監視・指導ができるようになったんです。だから、いざというときでも、犬たちがどこかへ消えていくっていうリスクは、今までに比べたらそうとう減りました。

かつ、付帯決議というのがありまして、その2の中で「基準の遵守を徹底するため、動物取扱業者への周知や地方自治体職員に対する研修の実施等、施行に向けた体制整備の強化を図ること」と書かれています。これはまさに、先ほど入交先生がおっしゃっていた、ちゃんと業者、教育していきましょうねっていう話なんですね。

だから、この数値規制が決まった一方で、ちゃんとそれに向けて教育を、自治体の皆さんしてくださいと。かつ、万が一、その数値規制を守れなくて取り消しになった業者に対しては、ちゃんとその後も監視・指導が続きますよという法律になっているわけです。確かに、前回2012年の法改正のあとに、大量遺棄事件というのが相次ぎました。そもそも犯罪だから、遺棄しちゃいけない話なんだけども、そういった万が一のリスクもなるべく軽減できる立て付けになって、本当に今回の超党派議連の先生方の議論の積み重ねはすごいなと思う次第です。

今後、どういうスケジュールで、この数値規制の話が進んでいくかということなんですが、12月か来年1月にまた検討会があるそうです。で、来年の春ですね、2月、3月、4月ごろには、骨子案というのが出てくるという予定になっています。この骨子案の段階では、ある程度の数字が載ってくるそうです。

つまり、次の検討会が開かれて、さらにその次の検討会のときには、ある程度数字が見えてくるということは、まさに次の検討会、12月もしかしたら1月になるかもしれないと聞いてますけれども、そのあたり、この年末年始をまたぐあたりまでが、結構大きな山場になるのではないでしょうか。ぜひ検討会の議論に注目をしていただきつつ、ご意見などを述べていっていただきたいなというふうに思います。

最後になりますけれども、これまで、法改正が行われる流れの中で「殺処分ゼロ」という言葉は非常に一般に浸透しました。さらに皆さん、セットで譲渡の拡大ということにも、熱心に取り組まれてきています。ただ、地方自治体の現場で、動物愛護活動の現場で、その「殺処分ゼロ」と「譲渡の拡大」ということだけをやっていると、これは対症療法なんですね。つまり、悪い結果が出てきたところに対して、みんなで頑張ろうとやっていらっしゃる。根元を治療していかないと、いつまでたってもご苦労が続いてしまうんです。

今回の2019年の法改正では、8週齢規制で日本犬が除外されたりとかまだ種々問題は残っていますけども、それでも今までの法改正に比べれば、ずっとよい法改正ができました。先ほど申し上げたように、かゆいところに手の届く。

さらに残っている課題が、きょうの勉強会の「国際的な動物福祉の水準に適う、厳しい数値規制」というものが必要なんじゃないかということです。これは福島先生が参議院の環境委員会で質疑的発言をされた内容ですけれども。

そして数値規制を運用する舞台というのは、地方自治体になってきます。地方自治体の職員が、この数字を持って業者のもとに監視・指導に行かれます。さらにもう一つ言えるのは、条例に上乗せ横出しができます。今日は地方自治体の議員の皆さんがいらっしゃっていますけれども、ぜひ積極的にご検討されたらいいなと思っています。一つ注意事項があるんですが、8週齢規制のときにはですね、札幌市が8週齢規制を先に努力義務で条例化しようとしました。そのときには環境省からお電話が札幌市にかかってきた、いうことがありました。環境省側の形が見える前に、急いで条例を作ったほうが、そういうお電話がかかってこなくていいかもしれないですねということを、ちょっと最後に申し上げて起きます。

大体これで時間になったかと思いますので、どうも早口で失礼いたしました。ご静聴ありがとうございました。

司会 太田さん、ありがとうございました。いろいろとお話がありました。浅田美代子さん、太田さんの話を聞いて、どのようにアクションしていけばいいと思われましたか。

浅田 とにかく、民意の声が、やっぱり一番大事ですよね。あとはやはり議員さんの力も、本当に必要なんです。今回の法改正は福島先生と牧原秀樹先生が、本当に一生懸命頑張ってくださったので、ここまで何とかこぎつけましたが、これでもまだまだ世界の水準から比べると低いですね。だけど本当に少しずつでもいいから、とにかく犬や猫たち、動物たちが暮らしやすい世の中にしていってほしいなと思います。

*司会の塩村議員から、参加している地方議員の方々(佐々木おさむ・三郷市議、さいとう和夫・船橋市議、かみまち弓子・東村山市議、うすい愛子・北区議、岡本ゆうこ・松戸市議、林さちこ・熊谷市議、下市このみ・岡山市議、久保みき・さいたま市議、大塚たかあき・元東京都議)をご紹介するとともに、それぞれの議員からご挨拶をいただく。

質疑応答

IMG_5652司会 質疑応答に移りたいと思います。選ぶのが大変なぐらい、たくさん多くの質問をいただきました。まずは環境省の「動物の適正な飼養管理方法等に関する検討会」の話です。「この検討会、一体メンバーはどのように選ばれているのでしょうか? また、甘い規制にしようとしているのは一体誰なんですか?」という質問です。関連して、動物行動学者の委員による業者寄りの発言が紹介された件ですが「検討会の委員の言葉にびっくりしました。これは本当に委員としてふさわしい発言なのですか?」と。また「メールで議論をやっていこうというのも、検討会としておかしいと思います」という意見もございました。

太田 まず検討会の委員の人選について、今回の検討会の委員については私は分からないですが、以前に8週齢規制をどうするかということを検討するための「幼齢犬猫の販売等の制限に係る調査評価検討会」のがあったんですね。そのときに当時の則久室長に「どうやって委員を決めたんですか」と聞いたことがあります。その時、則久室長は「私が決めました」とおっしゃっていました。どういう検討過程があるんだろうなというふうに思って、情報公開請求をしたんですけれども、出てきたのは、委任状みたいなものだけでした。内部的に誰をどうしようみたいなことを考えたような形跡は、ちょっと情報公開請求からは分かりませんでした。

あと委員は、個人の思いを超えて、それぞれ専門家の立場でお話をされているはずなので、個人攻撃をしてもしょうがないというのはあります。ただ環境省の検討会で、動物行動学の専門家として委員の立場にある方が、動物行動学とは関係がないそういうお話をされていたことは確かで、一方でそういう意見が出ているということによって、政策にどう反映されていくのかというのは冷静に見極める必要があると思います。その意味で、今回は議事録を公開してないというのが、僕は大問題だと思います。

また、いま議論が進んでいるプロセスの中で、やはり動物愛護団体の皆さんの意思というものを、何らかの形で示していくことが大事なんじゃないかなというふうに思います。

福島 そうですね。私も同じ意見で、委員はおそらく環境省が決めているんです。私もいろんな審議会などによく傍聴に行くんですが、今回の検討会を傍聴しに行ってびっくりしたというか、違和感があったのは、環境省の役人がすごく多くて、委員が環境省にいろいろ聞くんですよね。そんな審議会って、あまり見たことがないなっていうふうにも、正直思いました。

だから、超党派の議員連盟の動物愛護PTも、できるだけ早くやっていきたいと思っています。数値基準は政省令で決めるとなっていて、環境省が検討会に基づいて作るわけですよね。ですから、その検討会の議論を注視すると同時に、私たちが提案をしたり、提言したり、できるだけこちらのイニシアチブでいいものを作っていくということをしていきます。それと、メールのやりとりというのはあり得なくて、やはりちゃんと検討会の場で議論をし、議事録を開示せよっていうことを、環境省に対してしっかり言っていきます。

環境省に対しても、私たちは意見を言っていこうと思っていますので、ぜひ一緒にやりましょう。よろしくお願いします。

司会 ありがとうございます。福島先生、関連した質問なんですけれども、検討会の議論を「メールでやろう」ということは、私も聞いたことがありません。本当にびっくりします。これは議連のほうから「おかしいんじゃないか」というふうに言えば、開示してもらえるものなのでしょうか。

福島 メールでやったら議事録に残らない。意思決定がどうなってるか分からない。やっぱりそれはおかしいと思うんです。だから私たち国会議員が、議事録に残るような形で検討会でやってほしい、可視化させてほしいというのを、言っていきます。

司会 そうですよね。これを変えていかないと、誰がどう言って何が決まったのか、いま以上に分からなくなってしまうんですよね。いまは傍聴に行けば、誰が何を言ったか分かるんですけれども、メールになってしまえば、誰が何を言ったのかも分からなくて、要旨すら出てこなくなってしまいます。ここはちょっとしっかり、頑張って変えていかないと、誰がこう言って、こんな緩い数字になったのか……ということになりかねませんので。国会議員で頑張っていかないといけないなと思っています。次に移ります。

入交 すごく単純な質問をしてよろしいですか、一般市民として。

福島 はい、何でもどうぞ。

入交 例えば、そういう検討会とかありますけれども、超党派議連で具体的な数字を「はい、これどうですか」と出すことは可能なんですか。

福島 私たちはこう考えるというのを、政治はみんなのものだから、どんどん意見を言っていったらどうでしょうか。

入交 では業界団体よりも前に。

福島 私たちが望む数値基準を私たちがどんどんイニシアチブを取って、議員連盟としても提案していく。市民の皆さんだってどんどんやったらいいというふうに思うんです。8週齢規制を実現したのは、やはり市民の力だと思っているので、どうでしょうか。勉強して、みんなでコンセンサスを作っていくというのは、あるんじゃないでしょうか。みんながばらばらで、何か内輪もめを始めるんじゃなくて、みんなで勉強して、コンセンサスを作っていく。議員連盟も勉強会をするから連携してもいいし。何か、知恵を出してやりましょう。やります。

入交 例えば、業界よりも早くってなるのであれば、例えばですね、イギリスは結構ちゃんともうできているので、まずイギリスの数値基準から入れませんか。イギリスは同じ島国。同じ人間、同じ動物。イギリスのをやりませんか。

福島 早いほうがいいかも。

入交 問題があるところにはちょっとだけ手を入れるとして、まずはイギリスの数値基準を入れませんか、というのはダメなのでしょうか。というのは、日本で考えてってやっていると、何度会議をしても、数字を入れられないと思ったんです。

浅田 いつも環境省がいうのは「日本における科学的根拠を示せ」。これでいつも逃げられるんです。だからイギリスがこうです、フランスがこうです、だからこうしましょうって言っても、それを聞かない環境省であったりするんですよね。

入交 でも、RSPCAは全部そろえますから、イギリスです。全部そろってるイギリスから行きましょうみたいなのは。ダメなんですか。

浅田 何とかやってみます。そうしないとね。

入交 イギリスは根拠も持っていますから。

福島 環境省の議論では、外国の調査や統計を無視する場合と無視しない場合とがあるんですね。「あれっ、今回はこっちで来ますか?」みたいな、ダブルスタンダードなところがあって。だからそこに対して、こういうふうにしてくれという提案を、先にやっていくのは、とても大事じゃないでしょうか。

IMG_5721司会 大変に重要なポイントだったと思います。私も業者の方からの接触があります。私はきつく数値規制やるべきだという主張をしているのを知っているんですね。なんて言われるかというと、「私たち業界側は、自分たちで自主的なものを作りますから」と主張をしてきます。緩くしようとしているんですよね。なので、ここはやっぱり、先ほど入交先生からご提案があった、イギリスの例などをしっかりと検討する、出していくことが重要だと思います。

もう一点、私、国会議員になってからレクチャーを受けることがあります。室長がなんて言ったかといいますと、パブコメが出たあとに変えるということは基本的には考えていないということなんです。だから、それまでに何とかしなきゃいけないと考えると、入交先生のおっしゃったとおり、早めに出していくということをやっていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思います。

数値規制の件で、質問がいくつもありました。「数値規制をしたら、同時に定期的な監視が必要ではないか」という意見が一つ。そして「センターの職員が本当に疲れきっていて、業者や動物愛護団体の監視・指導に手が回らないようだ。この状況をどうすればいいのか」。もう一つ「空調についての数値も入れていく必要があるのではないか。数値規制ができた際には業者だけでなく、動物愛護センターについても徹底されるものだと考えていいのでしょうか」というものがありました。

福島 数値基準がしっかりないと、ある自治体では何度も何度も何度も何度も指導に入りながら、結局勧告までできないという問題が起きています。行政も勧告、命令を出すのを怖がっているところがあるんですね。数値基準がちゃんとあって、行政職員が「こうしてくださいね」ということが言えるというのは、とても必要だと思います。

それから、やはり自治体の仕事ということになっているので、おっしゃるとおり、まちまちなんですよね。ですから、せっかく動物愛護法が改正されたので、自治体職員向けの研修をちゃんとやるとかというのを、もっと活発化させていくっていうのはあると思います。先進事例を紹介しながら、もう少ししっかりと業者の監視ができる体制を作るというところまで提案していったらどうでしょうか。

浅田 そうなんですよね。だいたい自治体が「人が足りない」と言うんですよ。「いや、見にいこうと思うんですけど、人が足りない」と言って、きちっと監視をしてくれない。行政職員でなくても動物愛護推進員の方などに、監視・指導ができる資格を持たせるということを考えるのも大切だと思います。たとえば駐車違反の取り締まりを民間に委託したような発想です。

太田 まず、人員が足りないという問題については、数値規制が入れば、見た瞬間に「イエス」ないしは「ノー」だと言えるわけです。業の指導をしやすくなるという意味で、今までの人員でもできることが増えるという立て付けの法律になっているはずです。

立ち入りの頻度については、これはもう本当に自治体それぞれ違うんですけどね。だから本日は、地方議員の方々もお越しになられていますけど、「ちゃんと立ち入り検査をしてください」ということを、自治体職員の方々に話をされていくということから始めるしかないんだろうなと思います。

浅田 立ち入り検査は抜き打ちでやっていただきたいんですね。「あした行きます」とか「何日後に行きます」とアポを取ると、繁殖業者はみんな実態を隠すんですよ、本当に。ひどい状態の動物たちを。

太田 あと空調管理の話は、環境省の検討事項としては列挙されていて、臭気、騒音、日照サイクルの確保とか、温度計、湿度計等の設置とかが必要ではないといったことは、項目としては列挙されてます。

浅田 私が見てきた悪徳繁殖業で、室温をちゃんとしているところは1箇所もありませんでしたね。熱中症で亡くなる子は普通にいますよね。

太田 これもまた、すごく面白いというと語弊があるんですけど、環境省の検討会で温度の話をすると、「でも暑いのに強いのと寒いのに強いのがいますよね、決められなくないですか」という意見が出てくるんですよ。そうはいっても常識的な水準があるはずなんですが、そういうところを探ろうとはしない。

先ほど来、ちらりちらりと、科学的根拠という話がありまして、その科学的根拠というのは、もちろん大事ではあるんです。で、それがベースにないと、なかなかその議論が進まないですし、正確なところを決めていけないんですけれども、日本で科学的根拠というキーワードが出てくるときというのは、何かを決めたくないときということが、これまでも多々見受けられました。8週齢の問題なんかは、ずっとそれでやってきました。先ほど福島先生がまさにおっしゃったように、「海外の論文は認められない、環境省の調査が正しい」ということもあれば、「環境省はなんの調査もしていないのに、こういう論文があるから」と決断をしたりする。こういう謎のダブルスタンダードもある。

2016年のことを思い出していただけると、猫カフェの営業時間の緩和というのをやりました、環境省は。このときの科学的根拠の使い方は、非常に特徴的だったなと思うのは、猫で午後8時まで展示された子と午後10時まで展示された子の糞を調べて、糞から出てくるコルチゾール濃度を調べたんですね。コルチゾール濃度っていうのは、ストレスがかかると増えるという話なんですが、糞は1日1回しかしない、しかも糞は血液や尿と比べてコルチゾールが出るのにタイムラグが大きくて検出されにくい物体だと。それを調べて、午後8時までと午後10時まで、差が出なかったんですね。差が出なかったから、規制緩和していくと。しかもこの調査では猫のストレスは正確に測れないですねというふうに、環境省の部会でも言ってる人がいるわけですよ。でも測れなかったから、根拠がないというふうに使われるんです。

だから科学的根拠というのは、ダブルスタンダードで使われるので、科学者の隣でいうのも本当に申し訳ないんですけれども、気を付けたほうがいいなと思ってます。

入交 めちゃくちゃな話だと思います。

司会 ありがとうございます。時間も迫って参りましたので、あと3問。まず太田記者に質問ということでいただいてます。「先ほど条例の話がありました。条例は、いつまでに作るのが理想的ですか?」という質問です。

太田 どうですかね。8週齢のときは、あれは2016年でしたかね、札幌市が条例を作ったのは。私が、札幌が条例作るという話を記事に書いたらすぐに、環境省の室長補佐が札幌市に電話をしてきて「科学的根拠を示せ」、「ちゃんと説明を」という電話をしてきたんです。関係者の見立てでは、その段階では、おそらくある程度の筋書きを環境省は作っていたんでしょうと。今回に関して言うと、分からないですけど、まだできてない雰囲気はあるし、本気で決めにかかる際にはたぶん環境省側も相当な勇気がいると思う。できればこの春までには形を見せていただけたら、何か環境省の議論をリードするような条例にもなるだろうし、変な圧がかかる前にできるのかなという気はしなくもないです。

福島 環境省に、どういう飼育環境基準の条例が出ているのかというのを見せてもらったんですが、正直、今の段階では、あんまり大したものがなくて、昔の何かちょっとぼんやりしたものなんです。実は札幌市が8週齢を条例で決めたのは、すごく私たちを勇気付けてくれて、「ほらやってるじゃないか」という感じで使えたので、もちろん各自治体で、コンセンサスが取れれば、意欲的なものを作っていただければ、またそれに影響される、ということは思っています。

今、ちょっと忽然と思い出したんですが、環境省が自治体にアンケートのようなものを取ったときに、むしろ飼育環境基準があったほうがいいという自治体の明確な回答が結構あったんですね。ですから、むしろ自治体の職員は、自分がちゃんとやれるように、業者から文句を言われないように、客観的な数値を入れてほしいと思っているわけです。実は自治体の側が望んでいるので、そういう条例ができれば、私たちを勇気付ける。もし可能な自治体があれば、ぜひ意欲的なものを作ってください。私たちも、本当にいいものを、環境省が作るように、もっともっと働きかけていきます。ありがとうございます。

司会 ありがとうございます。あと2問です。「今後、ペットショップでの生体販売を禁止するという方向性は全くないのでしょうか?」という質問をいただいています。これは考え方、いろいろあると思うんですよね。結果としてそうなっているのか、禁止するのか、いろんな考え方があろうかと思いますが、ご意見がある先生、いらっしゃったらぜひ。

浅田 私はなくしたいです。なくすべきだと思っています。日本だけが、こういうことにおいては本当に後進国です。数値規制などの規制強化をいろいろとやって、まずは悪徳ブリーダーがやっていけないようになり、徐々になんですけれどもいずれは絶対に、生体販売というのは、なくすべきだと思っていますね。いま有り余っていますから、犬や猫が。本当にかわいそう。やっぱり作ることだけに必死になってて。ヨーロッパなどでは、純血種が欲しかったら、ブリーダーさんのところに行って子犬・子猫が生まれるのを予約するんですね。それで、半年とか1年、待つんですよ。

日本はとにかく、街中どこにでもペットショップがあって、ああかわいいって衝動的に買えちゃう。こういうこと自体が、もうおかしい。もう悪循環なんですね。

入交 やはり消費者の力が強いと思います。一般の方々が、動物福祉を考えて、ちゃんと親を見て、こういう犬舎で、この子が欲しいと言って買うのが当たり前になってくるといいと思います。神奈川県の職員の方がイギリスでアンケートを取ったときに、7割の方は、保護犬ではなくて、純血種をブリーダーから買われていたそうです。ある犬種がほしいと思う人もいて、そうするとやはり保護犬いうわけにいかないっていう方がいて、7割くらいはブリーダーに買いにいってる。だから日本でも、純血種が欲しいとか、特定の犬種が欲しいという気持ちは皆さんにあることは否めないですから、ブリーダーさんのもとにちゃんと親を見にいって、問題がない子を、ちゃんと自分で選んで買ってくるのが常識で、ペットショップに行くのは変だよっていう常識が広まれば、ペットショップは売ってる場合じゃなくなっていくのではないでしょうか。

司会 そういう方向にしていかないと駄目ですよね。

浅田 いま、野菜でさえ「何々県の何々さんが、こういう環境で作った野菜です」と表示して売っているのに、ペットショップの犬たちは、どんなところから来たのか、ほとんど知らされないままで、ただ「子犬でかわいい」というだけで買ってしまう。やっぱり消費者がペットショップでは買わなくなって、自分でブリーダーさんのところへ行って予約してくるという状況を作り上げていかないと。そうでないと、不幸な子たちがいつまでたっても救われないと思います。

太田 別の機会でも何度か申し上げたことがあるんですけども、つまりブリーダーからの直販と、ペットショップという生体の流通小売業者との生体販売と、分けて考えないと、話がすっきりしなくて、いま出てきている話は、ブリーダーからの直接の生体販売は良いでしょうということ。いいブリーダーであればちゃんと犬舎も見せるし、これは藤野真紀子先生からも教えていただいたんですが、祖父母の代まで性格が分かれば、どういう子に育つのかというのが分かるので、自分に適した犬を迎えられるという話もあるんですね。そういった売り方、買い方っていうのは、犬猫の入手ルートしてシェアを伸ばしていきつつ、一方で生体を流通小売業で販売するシェアを、消費者の力で減らしていくということは、消費者の力で可能でしょう。

ところで、今回の法改正を見ていますと、実は大手のペットショップチェーンほど、週齢規制に関しては賛成であるということを表明したんですね。これはやっぱり消費者が8週齢ということを知り始めて、いまの状態は問題だということが分かってきた。そのプレッシャーまたはニーズに、まあある種、応えたという側面が強いと思っています。そのプレッシャーを直接感じない人たちが、どちらかと言えば反対したんだろうなというふうに、私は取材していて思いました。

ですから、一気にペットショップというものがなくならないにしても、消費者が賢い選択をしていく中で、もしかしたら今の生体の流通小売業者っていうものが、少しずつ形を変えていって、何かまた違う日本流の売り方になる。まあそれはいい意味で申し上げますけど、そういう変化が出てくるかもしれないということは、考えてもいいのかなというふうには思います。

司会 はい、ありがとうございました。いつの日か、生体の流通小売業がなくなるようにと、私も思っています。最後の質問に進みたいと思います。いくつも同じ質問が来ています。「一般市民の私たちができる具体的なことは何でしょうか?」ということです。時間がありますので、大変恐縮ですが、30秒ぐらいで皆さんに答えていただけたらなと思います。

太田 先ほど福島先生もおっしゃってましたけども、法改正はやはり、国会議員の先生がやらなければいけない仕事でした。今後、数値規制については環境省の仕事になります。一つはやはり、環境省に向かって世論をぶつけるということ。あとはもう先ほど、最後に申し上げましたけども、地方自治体のほうでリードしていけるテーマでもあります。ですから、地方議員の皆さんというのは、皆さんの意外と身近にいらっしゃると思うので、そういった方に、「こういう条例を作ってほしいんだ」というようなことを、ぶつけに行かれると、もしかしたら全国的に大きなうねりとなって、それは最終的に環境省に世論として伝わるということもあり得るのかなというふうに思います。

司会 ありがとうございます。

入交 私のほうからは、やはり賢い消費者になっていただきたいなと思います。自分も含めてですけれども、愛護、愛護という押しつけというよりは、こういう状況で、こういうふうにすると、世の中もっと良くなるんじゃないかなっていうことで、考えていただけたらいいのかなというふうに、全ての動物において、そういうふうに思いました。

浅田 私も本当に同じように、こういう動物愛護とかを知ってる方たちは、本当に分かってくれてるんですけれども、そうではない、普通の人たちが、意外と分かってないんですね。ですから、今日みたいな機会をきっかけにして、自分の親戚でも身近な人に、「かわいそうな子を減らすためにはペットショップじゃなくてね……」というようなことを広めていってほしいなと。それが大きな輪になって、力になればいいなと思っています。よろしくお願いします。

福島 8週齢規制が実現できた、付則を削除できたのは、やっぱり皆さんの声だったんですね。重罰化もそうです。今回、法律改正でいろいろ盛り込まれた点は、やはりみんなの声の力なんですね。もともと「8週齢規制って何?」という感じであまり皆さん知らなかったのが、今回の法改正前にはわりと世の中に広がったていたのは、とてもよかったと思っているんです。だから今回は、「飼育環境基準をいいものにしようよ。売られている子犬・子猫のお母さんがボロボロになっているのはおかしいよ」、「いい環境で育つほうがいいよね」、「スタンダードとして、イギリスの事例があるよ」という声を、ぜひ広げていければと思います。議員連盟としても環境省にアプローチしますし、交渉します。国会議員も頑張りますが、ぜひ市民社会のほうからも、どんどん意見を言っていただけるといいなあと思います。

それから、今日は自治体議員の皆さんたちもたくさん来られています。自治体で先進的な条例が出ると、やっぱりそれはインパクトを持つので、ぜひ条例などで良い内容のものが出てきて、それが政省令に反映するように、それがいい循環になっていくように、一緒に頑張りたいと思います。

司会 ありがとうございました。予定の8時を過ぎてしまいました。そろそろ終了にしたいと思いますが、もう少々お待ちください。今日は最初から最後まで、衆議院議員の串田誠一先生には参加いただきました。本当にありがとうございました。そして堀越啓仁先生にも最後までお付き合いいただきまして、本当にありがとうございました。最後になりますけれども、藤野真紀子元衆議院議員、TOKYO ZEROキャンペーン代表理事から共催の立場でごあいさつをいただきます。

藤野 今日はとっても実りの多い時間を過ごせたかなと思っております。8週齢規制がどうなるかという、もう本当に緊迫した状況を経験して参りまして、最後の最後までこれはもう廃案になっちゃうんじゃないか、もう駄目なんじゃないかという、そういうどんでん返しがあるのではないかという危機感の中でやってきました。でもそのときに、みんなの思いは、8週齢だけじゃないんだよと。8週間、悪質なブリーダーの環境に置かれたら生き地獄だから、どうしてもこの環境を動物たちの福祉にとっていいように変えなければ、8週齢の意味ないよってねって、ずっと言ってきた。この最後のテーマが残っておりますので、福島先生、おっしゃったように、本当に最後の最後に、皆さまのお力をいただきたいなと思っております。

それから今日は、神奈川で活動している仲間たちがたくさん来ておりますけれども、ぜひ神奈川も頑張りましょうよ。先ほど、太田さんのおっしゃった上乗せ規制と、それと横出し規制ですか、プラスで何かやれるので、どんどん知事にも陳情に行きたいと思います。今日は地方議員の先生方もいらしてるので、どうかお力を貸していただければと思います。

この数値規制は、人の福祉を駄目するという意味の規制ではなく、動物たちの福祉を守るための法律です。ほかに動物たちを守れるルールはないわけですから、ここをきっちり、しっかりと法律を定めていかなきゃいけないと思っておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。きょうはありがとうございました。

司会 ありがとうございました。浅田美代子さんに最後にごあいさつをいただいて、終了したいと思います。

浅田 もう私は十分言いたいこと言わせていただきましたが、法改正がかなったのも、やはり20万近くの署名が集まったこととか、そういうことがすごく大きく影響してると思います。だから本当にみんなの、民意の声が一番力になると思っています。今後とも動物たちのために、よろしくお願いいたします。

司会 ありがとうございました。お名前だけの紹介で失礼いたします。前東京都獣医師会会長の手塚泰文先生もいらっしゃってくださいました。ありがとうございます。お名前だけの紹介で失礼いたします。

ここで時間となりましたので、終了したいと思います。きょうは皆さんと有意義な意見交換をできたと思います。地方議員の先生の力も大変に重要でございます。数値が緩くては現場の命を救えないということからも、ぜひ地方議員の皆さんの力も貸していただきたいというふうに思います。検討会もどんな状況か、よく分かったと思いますので、皆さん、ぜひ傍聴に行ってみてください。声を上げたりしたら怒られるんですけれども、傍聴している皆さんが議論を聞いてどう感じているのか、雰囲気は会場内に伝わります。検討会は世の中から見られてるんだぞというプレッシャーを与えていくことも、変えていく一助になるかと思います。

時間もだいぶ過ぎてしまいました。きょうは皆さん、ご参加をしていただきまして、本当にありがとうございました。気を付けてお帰りください。

以上

 


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