2019.12.13

浅田美代子さんらの呼びかけで「数値規制」の院内勉強会開催 「どんでん返し」をどう防ぐ?

IMG_5471女優の浅田美代子さんらの呼びかけにより11月5日、東京・永田町の参議院議員会館で院内勉強会 「動愛法、どんでん返しを防げ! ~本当の動物愛護を推進するために~」が開かれ、100人を超える動物愛護団体代表や地方議員らが参加しました。

今回の院内勉強会は、環境省がこれから省令で決める、いわゆる「数値規制」について、「国際的な動物福祉にかなった数値規制」となるよう求めていくために行われたものです。浅田さんが劣悪な繁殖業者の実態を報告したほか、米国獣医行動学専門医の資格を持つ入交眞巳獣医師や、今年6月の動物愛護法改正を主導した超党派の「犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟」事務局長の福島みずほ参議院議員らが講演。司会を、都議会議員時代から数値規制の問題に取り組んでいる塩村あやか参議院議員が務めました。また、串田誠一衆議院議員、川田龍平参議院議員、松田功衆議院議員、堀越啓仁衆議院議員らの国会議員も参加しました。

まず福島議員が、法改正の経緯について「一つの獲得目標としては、やはり(動愛法の)付則にあった7週齢を突破して8週齢を実現しないと、何のための議員連盟か分からないという思いがあった。付則を削除するために、ものすごく苦労をしました。この改正が挫折するんじゃないか、座礁するんじゃないかという局面は、実は何度も何度もありました」などと報告。

そのうえで、「残っているのが、飼育環境基準についてです。議員連盟としては、プロジェクトチーム(PT)を立ち上げて、飼育環境基準について勉強し、提言できるようにしようと考えています。自治体が業者に効果的に踏み込めるように、そして劣悪業者の取り消しもできるように、客観的で、実効性のある数値基準にしたいと思います」と話しました。

「ゆるゆるの数値では、犬たちは救われない」(浅田さん)

IMG_5489続けて、院内勉強会の呼びかけ人でもある女優の浅田さんが登壇。浅田さんは、「私が一番大事にしたいと思っているのが数値規制です」と言い、これまで自身で実際に見てきた、劣悪な繁殖業者の実態を写真や動画を用いて報告しました。

そして、「悪質業者をきっちり取り締まるためには、数値規制がないとできないんです。海外では、しっかり数値規制をしている国があります。日本では今回の法改正でやっと『数値規制を定めましょう』という条文が通りました。でも、その数値をこれから決めるのは環境省の検討会なんです。そこがゆるゆるの数値を出してきたら、また『どんでん返し』になるんです。また苦しむ犬たちが救われないんです。環境省に、何とかきちっとした数値を出してもらうように、私たちがみんなで動いていかなきゃならないと思います。どうぞよろしくお願いいたします」と訴えかけました。

「動物福祉を考え、諸外国では詳細な規定」(入交さん)

米国獣医行動学専門医の資格を持つ入交眞巳獣医師からは、数値規制の大切さと目指すべき水準について講演がありました。「私たちの願いは、パピーミルといわれる、いわゆる犬を大量繁殖しているような状況があることに対して、動物福祉の考え方のもとで繁殖をしてほしいということです」と言い、動物福祉の考え方について、その成り立ちから説明。「動物福祉はサイエンスの世界の考え方です。理論的にクールに動物の生活レベルを私たちは見て、それを高める方法を、科学的に追求することを目指します」と話したうえで、諸外国の事例をあげました。

「繁殖施設における動物福祉を考えたときに、諸外国ではものすごく詳細に、こうしなきゃいけないということを書いてます。外国では繁殖業は日本のような状況ではないので、実験動物施設についてご紹介します」とし、
●犬は社会的接触が必要な動物であるから、犬や人との接触が1日に複数回必要
●その犬が必要な運動が十分にできるよう、運動施設がこれだけ必要
●壁がどういう素材か、床がどういう素材か、排水施設はちゃんとあるか。窓はいくつあって、どのぐらいの大きさで、光がどのぐらい差し込むのか
●犬が正常に生活できる温度、湿度、空調、騒音なのか
――などという規定があることを挙げていきました。

実験動物施設でも繁殖をさせる事例があると言い、「USDA(米国農務省)の数値ですと、母犬の最低必要面積は、お母さんの鼻の先っちょからお尻の尻尾の付け根までの長さプラス15センチの2乗と書いてありました。子犬が生まれたら、子犬1頭につき、そのお母さんの必要な面積の5%はプラスしていくといふうになっていました。これが『最低ラインですよ』と」などと具体的な数値にも触れました。そして、「劣悪なブリーダーを誰も見逃さない状態にし、一方で、正しくやっているブリーダーだけが利益を得られるような数値とはどういうものだろうかと考えていければいいのでしょう」と結論づけました。

「アニマルベースメジャーという言葉に警戒を」(太田さん)

続けて、朝日新聞特別報道部の専門記者、太田匡彦さんが講演。太田さんは全国の劣悪繁殖業者の事例と、それを適切に監視・指導できていない自治体の現実を説明。また、環境省が数値規制をの内容を決めるために開いている「動物の適正な飼養管理方法等に関する検討会」を取材していて見えてきた状況について話しました。検討会の委員の一人が「やり過ぎると値段が上がるという可能性がおそらくあって、動物取扱業がそういう素晴らしい環境を実現してなおかつ供給ができるのかというところを、ちょっと気をつけておかないといけない」などの発言があったことを紹介したうえで、「『動物の適正な飼養管理方法等を考える検討会』における発言としては、少しピントがずれてるなという感想だ。法律改正によって数値規制が必要になった趣旨と現実を踏まえれば、こういう発言が出てきてしまうことが不思議だ」などと話しました。

またドイツでは「犬のケージは犬の体長の2倍の長さに相当し、どの1辺も2メートルより短くてはいけない」、イギリスでは「体重が20キロ以下の犬については、犬舎の最低面積が4平方メートル」などと規定している各国の数値規制も紹介。そのうえで、環境省が検討会で「アニマルベースメジャー」という、定性的な基準制定につながっていく可能性の高い単語を多用していることについて、警戒を呼びかけました。「数値規制を積み重ねてきた欧米において、一歩進んで、その数値規制がある上で、規制下の飼育管理や飼育施設の中で、個々の動物の心身の健康がしっかり守られているかどうかをチェックしていきましょうということで、アニマルベースメジャーがある。でも先進的だからといって、アニマルベースメージャーという定性的な基準だけを設けるようなことになってしまったら、犬猫等販売業者の状態というのは、全く改善されないことになる。それでは主客転倒だ」と話しました。

「議連として数値を提案」(福島さん)、「イギリスの数値から入れては?」(入交さん)

後半の質疑応答では、福島議員が「私たちが望む数値基準を、議員連盟としても提案していく。8週齢規制が実現したのは、やはり市民の力だと思っている。勉強して、皆でコンセンサスを作っていくというやり方が良いのではないか」と話すと、入交獣医師から「例えばギリスの数値規制は、ちゃんとしたものが既にできている。まずイギリスの数値基準から入れませんか? イギリスは同じ島国です」と提案。

この提案に対して浅田さんが「環境省はいつも『日本における科学的根拠を示せ』と言い、そうやっていつも逃げる。イギリス水準の基準が入るよう、何とかがんばりたい」と応じ、司会を務めていた塩村あやか参議院議員も「(いまのやり取りは)大変に重要なポイントだったと思う。業界側は、『自分たちで自主的なものを作りますから』と主張をしてきます。緩くしようとしているんです。ここはやはり、入交先生からご提案があった、イギリスの例などをしっかりと検討する、出していくことが重要だと思います」と続ける場面もありました。

最後は、TOKYO ZEROキャンペーン代表理事の藤野真紀子さんが「皆の思いは、8週齢規制の実現だけではありません。8週間、悪質なブリーダーの環境に置かれたら生き地獄になる。だから、どうしても動物福祉にかなう環境にしなければいけないと、ずっと言ってきた。最後の最後に数値規制というテーマが残った。皆さまのお力をいただきたいなと思っています」と挨拶して、院内勉強会は盛況のうちに終了しました。

なお、この日の院内勉強会には、串田誠一衆議院議員、川田龍平参議院議員、松田功衆議院議員、堀越啓仁衆議院議員らの国会議員のほか全国から地方議員の方々(佐々木おさむ・三郷市議、さいとう和夫・船橋市議、かみまち弓子・東村山市議、うすい愛子・北区議、岡本ゆうこ・松戸市議、林さちこ・熊谷市議、下市このみ・岡山市議、久保みき・さいたま市議、大塚たかあき・元東京都議)も参加しました。

院内勉強会の議事録は後日、公開致します。


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