2017.10.23

第1回勉強会(講師:細川敦史弁護士)の議事録をアップします!

TOKYO ZEROキャンペーン 勉強会シリーズ「いちから学ぶ ペットのためにできること」 第1回

テーマ:「動物愛護法とは 〜その成立と3度の改正の意義・課題~」

講 師:細川敦史・弁護士(春名・田中法律事務所所属。ペットに関する事件や裁判にかかわりながら、動物愛護法にまつわるできごとやその解説についてメディアで発信。ペット法学会会員)

開催日時:2016年1月28日(木)18時00分~19時30分

開催場所:衆議院第一議員会館大会議室(東京都千代田区永田町2-2-1)

 

 本日は平日の夜のお時間、本当にお忙しい時にお越しいただきまして、こんなにたくさんの方にお越しいただきまして、本当にありがとうございます。弁護士の細川と申します。

 私は今日、兵庫県のほうからやってきました。なので、ちょっとアウェイかなと思うんですけれども、でも私は実は千葉県で育ったんですね。千葉県で育って、松戸、幕張とか、学生時代のテリトリーだったので、そんなにアウェイ感を感じていないつもりではあります。15年くらい前に大阪に行っちゃったんですけど、東京に帰って来ると、駅のホームの音ですね、電車が来る音が懐かしく感じられたんですけど、今日もそれを聞いてきて、また東京に帰って来たなと思っております。

 今日は動物愛護法の話をして行くんですけれども、その前に、TOKYO ZEROの話をちょっとさせてください。私はTOKYO ZEROとの関係、いろいろとありまして、TOKYO ZEROの監事という役をさせていただいております。監事というのは、理事の職務実行を監理するという立場であります。

 理事の仕事、つまりTOKYO ZEROの目的とするところは何かというと、先程ご紹介があったように、とりあえず2020年までに、不幸な犬猫をなくすというところがまずスタートなので、その先まだいろいろあるわけですけれども、まずはそこに向けて、理事の皆様が目的を達成するという、実現に向けてやるところを、しっかりと監査したいなと思っております。

 で、本題に入りたいと思いますけれども、今日のテーマは「動物愛護法とは 〜その成立と3度の改正の意義・課題~」ということでして、大体3つに分けてやっていきます。

 まず最初の1つ目は、成立してから3回改正されているわけですから、4つの姿があるわけですね。法律の4つの姿があるので、それをざっと見ていきます。

 その後に、今の現行法が、じゃあどういう形で対応しているのかというのを見ていきます。これはメインテーマで、少し詳しめになっていきます。

 3番目に課題、足りないところがあるだろうということで、そこもちょっと触れながら、あまり今日は課題というところを掘り下げてやる時間もありませんし、今日は私の意見を述べるというよりも、こうなんだよという客観的なところ、説明の部分がたぶん目的かと思いますので、あまり課題を掘り下げていくことは、今日はしないです。

 さっそくですけど、入っていきます。最初に動物保護管理法というのが制定されました。これがよく言われている話ですけれども、昭和48年、1973年にできているんですけれども、きっかけとしてはイギリスからエリザベス女王が日本に初めてやってくるという大イベントがあって、それに合わせて、日本には動物に関する法律がないんだと、当時はなかったんですけれども、ないということが、何かイギリスのほうで騒がれたやに聞いているんですけれども、そんなことがあって、日本は何しているんだみたいなことがあったらしいですね。私は生まれていないので、らしいとしか言えないですけど、そういったことがあって、急遽国会の中で議論が進んで行った、成立に向けた動きが進んで、来日より早い段階で成立したというのが、説明されているところです。

 当時の時代背景としては、自分が子供の頃のことを思い返してなんですけど、犬は番犬で、犬小屋があって残飯をもらっていたという時代だし、猫は放し飼いで、サザエさんのような状態、これが当たり前だったわけですね。家に半分いて、外に半分いてみたいな状態だったと思います。外には野良猫がいっぱいいたと、そんな時代だったと思うんですけれども、こんな時代だったわけですから、今の犬猫に対する市民の意識とはだいぶ違っているというふうに思います。

 で、あわてて作ったというところもありますので、条文の数も、調べてみると13個しかありません。今は100以上あるんですけど、13条しかないので、あまり詳しいことも書かれないで、大きな理念みたいなものが中心になっていました。

 一応、虐待罪もありました。虐待という概念と、あとは遺棄しかなくて、虐待の中に今でいう殺傷の概念も含んでいました。そして、この2つの犯罪をしても罰金3万円が上限であった、こういう時代でした。

 人が飼育するペットだったら、器物損壊罪として違った罰則が適用されるんですけれども、外にいる野良猫をいじめても、これが限度です。だから警察もまともに動かなかったんじゃないかなと想像いたします。

 という時代が長らく続きまして、大体20数年くらい、このままやってきたわけです。けっこう考えられないですよね。初めての法改正が2000年ですから、1973年、昭和48年からずっとこの状態は続きました。

 とは言っても、時代は変わっていって、ペットを大事にしましょうとか、犬が外から家の中に入っていったんですね、お座敷犬とか言われた時代がありましたけれども、最近はお座敷犬なんて言わないですよね。僕の子供の頃はあったと思うんですけども。猫も、家の中で飼うのが主流になりつつある時代になってきました。

 あとはかなり影響があったのは、いわゆる酒鬼薔薇事件です。よく言われますけれども、これが神戸であって、少年に対する取り調べの中で、殺人事件の前にたくさんの猫を殺したと、自分で言っていたんですね。それは精神鑑定をされた中で、調査で、本人がしゃべったりしているんですけれども、こういうこともわかってきたと。

 そうすると、やはりこれは法律でどうにかしないといけない、虐待罪は軽すぎるんじゃないかという話になるわけです。上限が罰金3万円ではよくないでしょうということになりまして、最初の法改正が行われました。

 この頃、私はまだ弁護士ではないので、全然経緯はわからないんですけれども、動物愛護団体の方もかなり力を入れてできたというふうに聞いています。

 条文の数は、単純に数だけ言うと、13から31個に増えました。2倍以上とけっこうな数になりました。法律の名称を一部変更しました。法律の看板を変えるという、けっこう珍しいケースなんですけれども「動物の保護および管理に関する法律」、略して保護管理法というのが、「動物の愛護および管理に関する法律」、つまりいまの動物愛護管理法という名称になりました。

 ここで特筆すべき改正ポイントとしては、基本原則というものが元々あったんですけれども、そこの中に、私、このフレーズが大好きでよく使うんですけれども「動物が命あるものであることに鑑み」という、この1フレーズが入りました。動物は「物(モノ)」でしょうという人がたくさんいるのですが、僕は反対しているんですね。「命あるもの」と書いてあるというふうに私は言うんです。ですから物とはちょっと違うんです。

 ここがいわゆる「物(モノ)」と言ったら、法律的に、僕の弁護士的な感覚で言ったら、漢字の「物(ブツ)」って書くんですね。でも動物愛護法では「もの」とひらがなで書いてある。ちょっと細かい点ですけれども、そういう点でも違うんじゃないのというふうに思っています。

 2つ目のキーワードとして「人と動物の共生と」。これも最近よく強調されるワードですけれども、この文言は2000年の改正の時に入っています。ここはかなり大きな改正だと思います。

 あとは動物取扱業、ペットショップとか、繁殖業者に対する規制が、初めてここでできたんですね。それまでは法律の規制はなかったんですけれども、ここで初めてできて、最初の段階としては届出制となりました。これは何かというと、うちはここで営業していますよというのを、名称と住所を、役所に文字通り届け出るんですね。それだけでおしまいなわけです。別に審査もなければ、やりすぎたらペナルティがあって取り消されることも、基本的にはないような制度です。一番軽い規制だということですね。

 あと、最近お馴染みの動物愛護推進員、一般の方が自治体から委嘱されて、ちょっと肩書ができたりするのも、この時が初めて出て来てるし、そういう動物愛護推進員など、獣医師会のメンバーとか業者さんも含めて、協議会を作って、頑張っていきましょうねみたいな制度ができたのもこの時の改正が初めてです。

 そして、法改正のきっかけとなった事件での虐待とか殺傷に関連した改正としては、罰金3万円が上限だったのが、一気に跳ね上がって100万円ですね。殺傷に関しては罰金100万円以下になったし、それまでは罰金だけだったのが、懲役の刑も入っていると。ひどかったら懲役1年という立て付けにはなっているということです。

 それで、虐待罪から殺傷罪が独立しましたので、元々の虐待罪と遺棄罪は、罰則3万以下だったのが30万以下になりました。これだって10倍です。これが最初の改正ですね。

 次に、2回目の改正、2005年にやっています。条文の数だけを数えてみると、31から50個に増えました。で、ここで特徴的な改正としては、国が動物愛護基本指針というのを作っているんですね。5年だったか10年だったかに1回変えているんですけれども、こういった基本方針を作ってくださいねというのを、法律で定めました。

 それで、国の基本指針に基づいて、自治体は推進計画というのを作ってくださいねというふうになりました。これはそれぞれ、国としての骨太の方針を作りましょう、自治体もそれに合わせて、自分らなりの方針を作りましょうというのが定められた。まあこれまでなかったのがどうなんだろうという気もするんですけど、ここで初めて作りました。

 あとは取扱業者、ペット業者さんたちが、当初の届出制、自分らはここで営業してますよというだけだったのが、ちょっとそれでは足りないねという話になりまして、登録制になったと。登録制というのは、届け出るだけよりも、一応これこれの要件を満たしてください、施設はどれくらいのスペースだとか、定められた要件があって、それに従って申し込みをする、申請をする。とりあえず申請さえ要件を満たしていれば、自治体側はこれを、登録を拒むことができないという意味では、そんなに、どうなん、という気がするんですけれども、届出制よりはちゃんと審査されて、登録がされているという違いがあります。

 あとは、マニアックですけれども、元々は動物取扱業者は、施設があるのを予定していたんですけど、施設がない業者もあるよねという話で、こんなのも含まれますよというような改正もされています。

 販売取り次ぎというのは、間に入って仲介するような話です。ふれあいというのは、動物園とかにある、ウサギを触らせるとか、あの類のやつです。あとは特定動物といって、危険な動物に対する規制ができました。これはあんまり犬猫とは関係がないですけれども、人の生命、身体に対する危ないものに関しては、飼うことはできるんだけれども、けっこう規制が厳しい、許可取ったりしてくださいねという話です。

 あとは、それまでできていなかったものとしては、これも犬猫若干絡むのか絡まないのかですけど、科学利用に対しても配慮してくださいねという条文が初めてできました。(スライドには)3R「的」とあえて書いてありますけれども、ちょっと配慮してくださいねという書きぶりなものですから、動物利用はなるべく少なくしてくださいとか、代替のものを用意してくださいとか、苦痛は与えないでくださいとは書いてあるんですけれども、トーンとしては弱いです。

 あとは虐待、遺棄罪の罰則強化。この時の改正でも、少し上がりました。具体的には遺棄罪が30万から50万に上がったということで、そんなに目立った強化ではないんですけれども、一応変わっています。

 3番目、これが一番皆さん、馴染みのある法改正でして、私も今、衆院議員会館に来た時が思い出されて、今でも忘れない2012年1月、何日かは忘れましたけど、ここで法改正のすごい集会をやったのを覚えています。人数もこれくらいで、すげえなと思った記憶がありますけれども、まあそんなのがあったりして、その後にこういった問題に関心を持たれている方もいらっしゃると思うんですけれども、それはそれでまた1から勉強していただきたいと思います。

 少しそれますけれども、だいぶ難しい感じなんですよね。文字面だけ見ていたら頭痛くなってくるような感じですけれども、今日はできる限りわかりやすくというか、記憶に残るような感じでやりたいと思いますから、あんまり細かいところまで全部吸収しようなんて思わなくていいですから、簡単なところだけ、何かひっかかりを残して帰ってもらったらと思っています。

 さて、3次改正ですね、この前の改正なんですけれども、2012年に成立して、翌年2013年に施行されました。条文の数は50から65に増えたんですね。65条が最後の条文なんだけれども、実際には枝番と言って、たとえば22条の1、22条の2とか、そんなのがあるので、実際カウントすると100以上あるんですね。100いくつか忘れましたけれども、100以上あります。だから、まあ言ったら倍に増えましたということでいいと思います。だから第3次改正、この間の改正というのは、かなり大がかりな改正と言っていいと思います。

 この改正の特徴的なものとしては、目的、基本原則の一部がまた改定されました。この目的の部分って、本当に法律で大事なところなんですね。この法律なんのためにあるんですか?というところからの話なので、ここに手を入れるのはなかなか大きな作業なんですけれども、手が加えられています。あとはここで、ざっと見ていただくといいですけど、あとでやって行きますので、ここで1つ1つ詳しくは見ていきません。

 このスライドは、動物愛護法の規制のイメージ図です。3つのトライアングルがあって、飼い主さんがいて、業者さんがいて、行政ですね。それぞれに線があって、そこに関するものというのが、こういう作りで、そういう整理の仕方で考えるとわかりやすいかなと思います。

 例えば、この飼い主から業者のところでは、業者から一般の飼い主が買うところのイメージですから、買う前に現物を確認させる。ネットで売っちゃいけませんよとか、販売時には18項目の説明事項があるんですけれども、そういうものを説明してくださいとか、展示販売施設は夜に売っちゃいけませんとか、ちっちゃい子を売っちゃいけませんとか、こういう話ですね。

 あとは飼い主と行政、上と右の線で行きますと、終生飼養ですね、これは飼い主だけの、線のところの話じゃなくて、飼い主だけに課せられた義務としては、最後まで飼ってくださいとか、遺棄や虐待をしてはいけませんと、当たり前のことですけど、これが飼い主の規制。行政との線のところで言いますと、多頭飼育がされていて、グチャグチャになったら指導が入るとか、勧告とか命令とか行政処分が出されたりしますし、あとは引き取り義務のところ、引き取るのか引き取らないのかみたいな話になります。業者と行政の線としては、登録をする関係であったりとか、指導監督するというような関係にあります。左下の業者のところは、業者の規制がいっぱいあったりします。こんなイメージですね。

 それで、当初はこれだけのイメージだったんですけれども、法律改正されて、けっこう細かくなっていくと、ここに獣医さんの存在が書かれたりとか、あとは警察が出て来たりとか、もう1つは、元々ありましたけれども、動物愛護団体さんとか推進員みたいな役割も、これからだと思うんですが、こういった人達の関係者が出て来る。で、こういった人達の条文も、最近は出て来ています。

 さて、予定時間で終わるのか気になりますが、目的は大事なんで、少し見ていきますね、ちゃんと。条文の全てなんですけれども、動物の虐待および遺棄の防止とか、動物の健康および安全の保持、こういった全体が動物の愛護という発想ですね、動物に優しくしましょう、そういった動物に優しい社会って、すごくいいんじゃないですかということです。生命尊重、友愛および平和の情操の涵養に資する、これが素敵な社会ですねというのが目的です。だからちょっとひねくれて言ってしまうと、動物の保護自体が最終目的には、今のところなっていないようにも見えます。

と共に、2つ目は管理に関する話です。動物はちゃんと管理して、人に危害が加わらない、人に迷惑をかけないようにしましょうねという発想が2つ目にあります。

 で、ここがちょっと肝なんですけれども、3番目の目的は、1番と2番の目的があって、「もって」最終目的が位置づけられると思うんですけれども、人と動物の共生する社会の実現を図るというのが最終目標と読み取れるところです。

 この3番目の目的を強調すると、人と動物が一緒に生きていますよという発想からすると、あまりこう、殺せ殺せみたいなのは良くないでしょ、というのは言えると思うんですね。動物が普通に生きられる社会というのは、やっぱり非常に物事が、条文なんかも解釈して行くべきなのかなというふうには思います。

 今回の改正で、この下線部が、目的でいじられたところですね。加筆された部分がここなんですけれども、この3番目の最終目標が、ここで初めて出て来たというのが大きな改正かなと思いますね。これを足掛かりにして、次に人と動物の共生社会の実現に関する改正をすべきだとなって来るわけですね。動物の管理のための改正をするんだという話ではないですね。

 次に基本原則ですけれども、先程少し触れました「動物は命あるもので」というやつですね。みだりに殺したり、傷つけたり、苦しめないという当たり前のことが書いてあります。人と動物の共生に配慮しつつ、適正に取り扱うと、当たり前のことが書いてあります。3番目が新しく改正で追加された部分なんですけど、ここは、「5つの自由」の表れじゃないかと言われているところですね。

 具体的に、「適切な給餌および給水」は、飢えと渇きからの自由、に関連するものだし、「必要な健康の管理」というのは、痛み、負傷、病気からの自由に関連するし、「飼養または保管を行うための環境の確保」というのは、自然な行動をとる自由だと、その辺に関連して来るんですけれども、しかも「行わなければならない」ですから、文言としては厳しいです。改正に5つの自由が入っていないかというと、ストレートじゃないかもしれないですけれども、意外と入っていたりするわけです。5つの自由が明記されたとは言い難いかもしれないけど、5つの自由の趣旨は明記されているのかなと思います。

 次に、2012年改正を見れば、今の現行法の作り、顔がわかると思いますので、ここをちょっと見ていきます。頭を整理しやすいように、かなり無理やり感がありますけれども、2つに分けられます。1つが、適正飼養、虐待をしない、これは一般の飼い主でいいと思うんですけど、ちゃんと飼いましょうね、いじめないでくださいねというものに関する規制です。2つ目が下ですけれども、業者さんたちを、ちょっと厳しく規制しましょうねという発想の改正がされています。別に全部じゃないですけれども、業者さんの規制がかなり入っていることがわかるかと思います。これも中は後で見ていきますので、今はこれだけでいいですね。2つに分けられますよということです。

 で、最初に飼い方の問題のほうに入っていきますね。動物の所有者、占有者の責務という項目があります。元々上に書いてあるような、3つの項目はあったんです。ちゃんと飼ってくださいとか、病気のことに気を配ってとか、そんなものがあったんですけど、下の4項目が新たに入ったんですね。生活環境の保全上の支障を生じさせない、グチャグチャにしないでくださいねということとか、逃げないようにしてとか、あと3番目はニュースになっていましたけれども、終生飼養、できる限りと頭に書いてますけれども、終生飼養の責務が入りましたと。4番目は繁殖制限の措置を取ってくださいねというものですけど、これは元々環境省の告示という細かい規定の中にあったんですけれども、法律の中に上がってきたというのは、かなり大事なことかなと思います。

 現に、「終生飼養の義務が入りました」といってニュースになるくらいですから、本当はあるべきものがあるだけなんですけど、と思いきや、けっこうインパクトはあるのかなと思います。

 こういう終生飼養の責務が法律に書かれたことによって、環境省が飼い方の啓発活動に力をかなり入れているわけですから、ここは大きな改正だと思います。

 残された課題としては、さらなる飼い主責任の強化です。今まで業者をかなり規制強化してきた経過はあるんですけれども、飼い主の規制というのはなかなか手がつけられにくいというのがあったと思います。だから、そこをするのかしないのかを、これから検討していく、次は飼い主規制ですという有識者の方もいらっしゃいますし、そこはどうしても検討課題になってくる。

 例えば、先程、TOKYO ZEROキャンペーン代表理事の藤野真紀子さんがおっしゃったように、マイクロチップの装着を義務化するのかとか、これは業者規制の発想もあるんだけど、一方で、飼い主が迷子になっちゃった時に見つかりやすくするとか、災害の時にも確実に飼い主のもとに戻れるのだと、こういう発想があるわけですから、飼い主さんに対する規制でもあるわけです。

 あとは、不妊去勢の義務づけを考えてもいいんじゃないですかと。していないのがいるとどんどん増えちゃうので、これを義務化してもいいんじゃないかという発想もありますね。実際、外にいる猫、野良猫じゃなくて、外で飼っていますよという猫については、既に義務化されているんです。マニアックな話なんですけど。まず第一義的には、家の中で飼ってくださいという規制があるんです。で、その規制にも関わらず外で飼いたいという人に関しては、じゃあ不妊去勢手術してくださいねというのが本当はあるんだけど、これが法律のほうには書かれていないので、こういうものをさっきの終生飼養の責務と同じように、法律に上げちゃっていいんじゃないのと、私は思っています。

 あとはよく言われることですけれども、ペット税を導入して、受益者負担じゃないですけれども、そういうものをすると、いい加減な飼い主が少なくなるんじゃないのみたいな発想はあるかもしれないですね。

 次に、引き取り義務の緩和というのがあります。これもよく話題になったところですけれども、元々は所有者から自治体が引き取ってよと言われた時には、自治体は、法律の条文だけでいうと、無条件で引き取らなきゃいけなかったわけですね。これがつい最近までこんな状態だったんですけれども、現場の方がいろいろな努力を、やり方によって、少し指導をしていた部分もあるんだけれども、最後の最後は引き取りをしなきゃいけなかったわけですね。

 さっきの終生飼養の責務が入ったことと、これは完全にリンクしているはずなんですけれども、いい加減に飼っている人が引き取ってねと言って来たらダメですよというふうに拒めますよという改正がされたのがこの間のことです。

 具体的には、そういったいい加減な飼い主さんもそうだし、あとは典型的には販売業者さんですね。業者さんが、「ちょっと売れ残りましたから」とは言わないでしょうけど、持ってきた場合には拒めるようになっているわけです。

 ただ、拒めるだけの話なので、拒むのか拒まないのか、最終的には自治体の現場の判断になります。印象としては、意外と拒んでるな、拒否しているなというような、私の感覚、感想ではあります。

 あとは、これは元々言われた話ですけれども、引き取りが緩和されたことによって、別の弊害が生まれませんかということは言われていますね。引き取りを拒んでしまうと、じゃあ困った飼い主はどうするのか、捨てちゃうんじゃないの?ということですね。実際に、引き取りを拒まれたからかどうか知りませんけれども、遺棄問題というのは起きます。もちろん法改正の後になってどんどん増えているのか、前からあったのか、よくわからないし、実際前からあったんですね。法改正の前から、業者さんがたくさん捨てちゃうという問題はあったので、引き取りの条文の改正に伴うものかは、よくわかりません。

 一昨年、2014年には、いろんなところで、同じようなタイミングで、ボンボン大量遺棄みたいな事件が起きて、かなり話題になったことは記憶に新しいかと思います。これに対してどういうふうに手当てしていくかは、これからの問題かなと思いますね。

 あと罰則の強化。毎回改正の度に規制が重くなっていくんですけれども、これではまだ足りないという声があるとか、罰則を強化すれば、もしかしたら虐待や遺棄が減るじゃないかという期待があったのか知りませんけれども、前回の改正でも罰則が重たくなりました。具体的には大体2倍になったというふうに思っています。さっき、2000年の改正の時に殺傷罪ができて、1年以下の懲役と100万円以下の罰金ですよといったかと思いますけど、それぞれ倍になって、1が2になって、2年以下の懲役または200万以下の罰金になりました。虐待遺棄に関しては、50万以下の罰金、2回目の改正で30万から50万の罰金になっていましたが、50万円が100万円になりました。これも倍になっています。

 下の方はあんまりいらないかなと思いますけれども、とりあえず、犬猫問題に関して、何かあるとしたら、動物取扱業者が違反した時の罰金も、重たくなっています。

 あとは、よく言われることとして、虐待の定義が、今までふわっとしたものだったのが、具体的になったというのが特徴的な改正です。で、元々改正前は、そこに上げているように、「みだりに給餌、給水を止めることにより衰弱させる等の虐待を行った者」と、「等」ってようわからへんという感じなんですけど、この5つの自由の趣旨を反映して考えられた感じで、少し詳しくなっていますね。

 元々「給餌または給水を止める」という、エサをあげない、水をあげないというのがありましたが、これはまた書かれています。次に「酷使」とは鞭打つことですね、あんまりあるのかどうかわからないですけど、上げ馬神事をイメージしているのかわかりませんけれども。あとは「健康および安全を保持することが困難な場所に拘束することにより衰弱させる」。ですから、最終的には全部「衰弱させる」ことにかかってくるんですね。給餌給水を止めていますと言っても、別に衰弱しなくて元気ですよというのは虐待に当たらないということになってくると思います。衰弱していないと、つまり、皮と骨だけになってガリガリの状態みたいになっていないと、虐待罪の要件は満たさないのかなと思います。

 2個目以下は新しい定義なんですけれども、病気にかかったり負傷したものを、放ったらかしにしているとダメですとか、あとは糞尿が積み重なっていたり、犬猫の死体がいっぱいあるのに放置している場所で生きている犬猫を飼っていたら、これは虐待ですというものが明記されています。

 今の条文には明記されていますけれども、改正前でも、私も実際にやっていますけれども、糞尿が累積したケースで虐待罪として刑事手続きで罰金になった事例がありますから、別に何かが変わったわけじゃないですね。条文が詳しくなって、虐待の定義がわかりやすくなりましたよくらいの感じで思っておいたらいいのかなと思います。

 ちなみにその事例は、繁殖業者の崩壊現場でいっぱい犬猫が死んでいたから、これはそもそも殺傷罪だろうということで告発手続を取ったのですが、結果としては、今いる犬に対する虐待だったら証明できるということで、罰金になったケースです。

 残された課題ですが、これはほとんど解決していますけれど、虐待の定義は明確化したんだけど、遺棄罪は「遺棄した者」というだけなので、これもどうにかならないのかとは言われていたところです。

 典型的には、公園に犬猫を捨てた場合です。これは遺棄にならないという解釈が、けっこう最近まであったんですね。警察は「よくわからない、環境省に聞いてみる」みたいな感じで、環境省は「うーん、警察に聞いて」みたいな、そんな感じでグルグル回っていた時代もあった気がするけれども、結局一昨年の12月に環境省が通知を出して、その中で、こういう時には原則として遺棄に当たりますよみたいなことを書いてくれたんですね。

 例えば、飼われていた動物を捨てた場合には、どんな場所とかどんな状況で捨てても、山の中でもダメだし、公園とかでもダメだし、というような意味合いだと思うんですけど、原則として当たりますと。あとは飼っているか、飼っていないかに関わらず、ちっちゃいのとか、すごい年寄りなのは、捨てたりそこら辺に置いてきたら、自分で生きていけないんじゃないのという発想があるので、基本的には遺棄だと。放ってしまっても生きていけそうなものに関してはともかく、元々飼い馴らされたやつが外に出たらそれは危ないでしょという発想で、原則として遺棄になるとしています。

今までみたいに、飼っていたのを段ボールに入れて、動物愛護団体や動物病院の前に捨てられたケースで、そんなんが警察に持って行かれた時に、「あなた達の目の前に置いてあるんだったら、助かるじゃないか。だから遺棄にはあたらない」みたいなヘンテコな解釈は、これからは少なくなるんじゃないかと思います。ここはある程度解消されたと思います。

 次は、新しい制度として、獣医師さんが通報してくださいねという制度ができました。これは、児童虐待の法律を参考にしているのか、ちょっとわからないですけど、児童虐待もこういった規定があるんですね。児童虐待の場合には、お医者さんに限らず、国民全員が通報しなきゃいけないくらいの広い規定でして、動物の場合には獣医師さんに限りましょうということです。

 お仕事をしている時に、そういった殺傷とか虐待の疑いがある動物を見つけた時には、役所までちゃんと通報してくださいねというものなんですね。もしも本当に虐待事件が起きている、実際に起きているかどうか調べてみないとわからないですけれども、診てくださいねと持って来られた動物が怪しいなという時には、すぐにちゃんと証拠を保全しないと、警察に証拠保全してもらわないと、捜査がちゃんと進まないですよね。証拠がなくなっちゃうと、たぶんそんな話あったけど証拠はないよねとなってしまうので、専門家がちゃんと関与する段階で証拠保全させるための制度と思われます。

 で、ここでちょっと問題なのが、通知するよう「努めなければならない」と書いてあって、通知「しなければいけない」ではないんですね。努める、つまり頑張ってくださいねくらいの感じなので、やらなくてもペナルティはないと。やるかやらないかは獣医師さんの判断に任されちゃうところではあります。

 これは、初めてできた制度なものですから、最初からあんまり獣医師さんに負担をかけてもどうかなというのはあると思いますので、足掛かりとしてはこの程度でやむを得ないのかなとは思います。これで機能していない、まったく通報がありませんよということでは、それじゃ困るよねということで、そこで変えて行ったらいいかなと思います。

 あとは動物虐待に関する残された課題としては、もう前々から言われていますけれども、実効性の問題。刑罰をどんどん上げて行っても、実効性がなければ、まあやるやつはやるでしょう、罰則が重たいからやりません、ちょっとやめとくわ、この間刑罰が倍になったらやめとくわという人はいないと思うので、仕組み作りのほうが大事かなと思います。

 よく言われるのが、アニマルポリスですけれども、実際に海外のものを日本にどうやって導入すればいいのかということは、考えていかなきゃいけない。以前、このテーマで1回お話ししたことがありますね、アニマルポリスということで、どこかで話したことがあります。

 あとは適正飼養に関するものとして、多頭飼育の規制。1人でたくさん飼ってしまって崩壊してしまってニュースになるというのはよくあります。こういった多頭飼育崩壊を未然に防ぐとか、早いうちに対処するための改正がされていますぐらいの感じでいいです。これは本当にわかりにくいので、難しいですね。

 ようやく業者規制に入っていくんですけれども、時間大丈夫かな。取り扱い業としては、元々のペット業者さんたちというのは第1種になって、第2種というのができました。業という概念は本来は営利目的だと思うんですけど、営利目的じゃなくても、施設を持って動物を触っている人達は同じように規制があってもいいということで、ペット業者さんの最初の規制と同じように、届け出制という一番軽いところから始まっています。

 あとは、新しい業態。ペットオークションや、老犬、老猫ホーム、よくニュースになるような、こういうものが新しく規制の対象になりました。

 あとは、よく言われている8週齢規制。法律の条文には「56日」ときちんと入っているんだけれども、附則という、オマケみたいなもので、テクニカルな感じで、規制が先送りにされているのが現状です。今は45日で、もうすぐ49日になって来るんですね。今年の9月1日からは49日となっていて、この先は未定というところが、ちょっと悩ましいところです。

 あとは、深夜の販売が夜の8時から朝の8時までは展示してはいけません、陳列してはいけませんよという規制はできたんだけれども、猫カフェはちょっとまあええかなみたいな感じになっている。夜10時まで、ちょっとお目溢ししようかなみたいなことが、いまだに続いています。

 残された課題として何を頑張らなきゃいけないかというと、8週齢規制を実現しましょうねということとか、飼養施設、ケージとかガラスケースを、ちゃんとこれぐらいのスペースを確保しないといけませんよみたいなことが、規制が必要じゃないのという話は、当然前々からあるわけで、その辺はやっていかなきゃいけないことですね。

 次に、トレーサビリティに関連する規制。先程の藤野先生のお話にもありましたけれども、この犬がどこからやってきたのか、ちゃんと追えるようにしましょうねという発想は、常に必要かなと思います。今までなかったことですね。今ありませんかというと、一応はあるんです。この間の改正で、その足掛かりみたいなのができています。販売の前に対面で説明をする義務がありますね。ショップで売る時に、先程、18項目の説明義務があると言いましたが、その中に、生年月日は何月何日、これは大体言うんでしょうけれども、それ以外に、繁殖者の名称や所在地も説明の対象になっています。これが新しくできた整備です。

 これをちゃんとやってくれていれば、犬がどこで生まれたのかというのがわかるし、もしも、犬を買ってすぐに死んじゃいましたといった時に、繁殖者を調べようと思ったら調べられるわけですね。

 あとは犬猫の販売業者さん、ペット業者さん達は、帳簿をつけないといけないと、この間の改正でできました。あとこれからどうやって機能させていくかという問題があるけど、一応できました。そこには、モノみたいで嫌ですけれども、仕入れとか販売とか死亡数、プラスとマイナスを記載して行って、1年毎に自治体に届け出てくださいねとなりました。あとはこれが機能しているかですね。

 残された課題としては、マイクロチップは繁殖業者の段階で入れたいよねと、やっぱり本当にこういった話を聞いていると思うところです。それはトレーサビリティに有効であるということは間違いないし、実際に法律の附帯決議といって、立法者側の意志が書かれているんですけれども、ここにも載っているし、附則という、法律の最後のオマケの部分にも書かれているし、国の基本方針、さっき言いましたけれども、骨太の方針にも書かれていますよということで、それは何かやらないかんでしょという話になっているんですね。

 あとは、取扱業登録の適正化に関する規定。だいぶ細かくなってきます。猫カフェは、こんなのがありますよというのを、資料がお手元にあるでしょうから、持って帰って見てもらったらいいです。

 あとは命に対する責任に関する規定。業者さんが廃業した場合には、逃げちゃいけないですよと。ちゃんとフォローしてくださいね、引き取り手を探すとか、ちゃんと受け皿をセッティングしてから廃業してくださいねというのがあります。これは努力義務で、絶対的な義務ではないから、ちょっとしんどいところではあります。

 あとはさっき言ったように、業者さんから引き取ってくださいと言われても、自治体が拒めるのは、業者は命に責任を持ってくださいねという話ではあるわけですね。

 次に、新しい枠組みとして、獣医さん達の役割が少しずつ増えてきています。今までも、病気の予防とか、繁殖制限措置とか、こういったところで獣医さんが関わってくるし、動物愛護の担当職員さん、自治体の中で獣医師免許を持っている人達もいるわけで、こういった規定は元々あったし、協議会には獣医師会の獣医さんが参加したりするのはよくあって、法律の中に獣医さんは登場していました。

新しいものとして、ペット業者さん、販売業者さんは、獣医さんとちゃんと連携してくださいねみたいなことも入りました。これもお抱え獣医だったらどうなのかはあるんですけれども、そういうのが入りました。あとは、さっきの業者が作成する帳簿、プラスマイナスをつけて死亡数をつけて提出させる帳簿ですが、あれで怪しいなという状態にあると自治体が判断した時は、一定期間の間に獣医にちゃんと見せて報告を求めることになりますが、そこでも獣医さんが関わっています。あとは獣医さんの通報制度があって、獣医さんの役割というのは、かなり、動物愛護管理法の中で大事になって来ていることが現状です。これは間違いなく。

 終わると思っていなかったんですけれども、本当に時間が足りないなと思って、ちょっと駆け足でやっていたら、いつのまにか終わってしまったんですが。

 もう1個、実はあるんですよ。配布用のスライドには入っていなくて、さっき作って来たんですけど、もう1個、大事な話があって、これを持って帰ってほしいんですけど。

 「猫」っていう文字。表記的な問題なんですけれども、従来は、ずーっと法律ができてから、犬は漢字だったんですけれども、猫は「ねこ」とひらがなで書かれていたんですね。最初全然わからなくて、なんで猫だけひらがななんですかって思いながらね、どこかのコラムでも、「法律を作った人に聞いてみたいです」と書いたり、よくわからなかったんですね。それがこの間の法改正で、漢字になったんですね。漢字なんですよ。

 これ、なんでかなと思って、詳しい人に聞くとですね、常用漢字の話だそうです。1981年ですから、こんなのに時間かけるんと違うんですけど(笑)、昭和56年に常用漢字になったと、それまでは猫という漢字が常用漢字には含まれていなかったのが、昭和56年に、普通に使っていいとなったらしいんです。だったらその次の2000年の改正で猫にすればいいじゃんと思うんですけど、棚上げというか、忘れられていた感じで、ずーっとそのままで、この間の改正で、ようやく誰かが気付いたのか、猫になったということなんですね。

 私なんか裁判なんかする時も、ずっと「ねこ」とひらがなで書いていましたけれども、2012年以降は漢字にしている、どうでもいいマニアックな話なんですけど、こういった改正もあるんですね。これだけ持ち帰ることのないように、ないようにですよ、ないようにしてください。

 ちょうど時間ですね、良かったです。ご静聴ありがとうございました。


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